EYストラテジー・アンド・コンサルティング|ヘルスサイエンス・アンド・ウェルネス・マーケット(HS&W)セクター|佐野パートナー
「ヘルスサイエンス業界を変える」――思いに共感する方と働きたい
Post Date:
2021-06-01 /
Category:
IT・デジタル, 外資系,
本日はEYストラテジー・アンド・コンサルティング、ヘルスサイエンス領域のコンサルティングリーダーを務める佐野徹朗パートナーにインタビューの機会を頂戴し、ヘルスサイエンスの動向やプロジェクト内容、EYの強み、求める人物像、今後の展望などについてお話しいただきました。
EYが推進する“ライフサイエンス4.0”とは
EL
最初に佐野様のご経歴をご説明ください。
佐野様
アメリカの大学を卒業後、大手総合ファームに入社し、ロサンゼルスで8年、イギリスで2年務めた後に、日本に戻ってボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社しました。数年間BCGにて勤務後、自分でも事業を推進したいと考え、知り合いの投資家から社長就任の打診を受けたこともあり、そこで2年ほど経営者を務めました。2年後にイグジットして次のステップを考えていた時、EY Japanの当時のアドバイザリーリーダーであったアンディ・エンブリーと話す機会がありました。「グローバルの知見を活用し日本のマーケットを開拓し、EY Japanのコンサルティングビジネスを伸ばしてほしい」、とお話しをいただき、自分の興味・経験にフィットしたことから、2016年12月にEYへの参画を決めました。以来ヘルスサイエンス領域のコンサルティングリーダーを務めています。
EL
ヘルスサイエンスの最近の動向をどう見ていますか。
佐野様
昨今の業界的な動きとして三つの潮流があります。一つは「パーソナライゼーション(個別化医療)」です。例えば遺伝子、いわゆるゲノム解析が進んだ先の新しい治療方法など、既にいくつかの治療法ができ上がってきています。
二つ目は「データプラットフォーム」です。これはデジタル化やデータ分析の技術が非常に伸びているので、データのプラットフォームを医療の世界で構築することによって新しい治療法を発見していくというものです。
三つ目が「カスタマーエンゲージメント」です。ここで言うカスタマーとは、ドクターと患者の両方を指しています。病気を治す・疾患に対して効果的な薬を作るというのはもちろん、それを超えて、ドクターや患者が、世の中全体の健康にどう影響を与えるかという観点からの取り組みが大きくなっています。
EL
そのような中、コンサルティングファームとしてどのように業界課題に対応していこうと考えていますか。
佐野様
EYが推進しているのが、ライフサイエンスとデータサイエンスの融合、名付けて “ライフサイエンス4.0”。その世界を実現するためにコンサルティングの支援をしています。具体的には、リアルワールドデータを使った開発や、創薬研究に対しての支援です。また、デジタルトランスフォーメーションを、インターナルDX/エクスターナルDXの二つの軸で分けて、インターナルでデジタルトランスフォーメーションの基盤を構築し、それを顧客に対してのDXに昇格していくという取り組みを推進しています。つまり、ライフサイエンスとデータサイエンスの融合を試み、それを実現するための基盤としてのインターナルDX、そして最終的にライフサイエンス企業自体が外部に価値を出していくためのエクスターナルDXを推進していきたいと思っています。
EL
具体的にはどのようなプロジェクトを行っているのですか。
佐野様
例えば、「パーソナライゼーション」と「データプラットフォーム」の掛け算の案件があります。今、世の中には無数の「リアルワールドデータ」と言われるようなものが存在しています。実際の患者さんの治療履歴から読み取れるデータや論文、SNSなどでのコメントがそうです。これらのデータをビックデータとして収集し、データ解析することによって創薬の開発計画にインパクトを与えることが考えられます。このような創薬研究に関わるビッグデータの分析および基盤構築というプロジェクトを推進しています。
また、個別化医療が進んでいくことでバイオ製剤といった効果が高い医薬品が出てきていますが、取り扱いが難しいものも増えています。例えば、温度管理のほか、流通時の少しの振動がバイオ製剤にダメージを与えてしまうこともあります。その対応として、最適なサプライチェーンを構築する必要があります。ものを動かすだけでなく、ものがどこにどう動いているのかに関して、ブロックチェーン技術を使ったデータ化により、実際にその製剤自体の情報管理を行うグローバルサプライチェーンマネジメントの構築も行っています。
なぜEYで働くのか――パーパスと存在意義を徹底的に掘り下げる
EL
EYの他ファームと違い・特徴を教えてください。
佐野様
大きくは三つあります。一つは、グローバル連携が圧倒的に強いことです。他のコンサルティングファームもグローバル連携を掲げてはいますが、中にいるとその違いが分かります。EYではグローバルのチームとジャパンのチームが実際にワンチームとしてつながり、プロジェクトを推進しています。これが大きな差別化ポイントです。
二つ目は、パートナーのコラボレーションが圧倒的に強いということ。一般的に、一国一城の主であるパートナーの集合体としてコンサルティングファームは成り立っていますので、各パートナーは良くも悪くも自分の城をしっかり守りつつ、城をどんどん大きくしていくことに注力します。しかしEYでは、パートナーにそういう感覚がありません。それぞれの強みを活かして当然のように足りない部分を補い合い、ある部分はコラボレーションし、協力しながらやっていきましょうという考えです。パートナー陣のそもそものマインドセットが違うのです。
三つ目は、パーパスの存在です。私たちヘルスサイエンスユニットでは、ファームのパーパスをさらに掘り下げ、ヘルスサイエンスとしてのパーパスを掲げています。「自己成長のための場」としてコンサルファームを選ぶ方が多くいますが、他方で、コンサルタントは自分自身が何を成し遂げたいかということが不透明になりがちな職業です。もちろん「自己成長」が一つの目的であり、その中でインパクトを出していくという考え方もあるでしょう。しかしEYでは自分たちの存在意義を明確に深く考え、なぜEYに集まっているのか、なぜ他の会社ではなくEYでないと駄目なのかを徹底的に考えた上で、仲間を募っています。ですから、その考え方が違う方は、いくらコンサルスキルが優れていてビジネス的な面で成長に資するものがあったとしても、最終的な自己成長に資する形にならないだろうと思います。同じ方向を向いて、強いパーパスを持っていることが何より大切だと考えているのです。
EL
パーパスを意識した意思決定を行なう機会は多いのでしょうか
佐野様
パーパスは意思決定をする上での軸になっています。例えば自分たちのビジネスでの売り上げを例にとると、お金を稼ぐという意味では、どんな手段をとろうがお金はお金だという考え方も当然あるでしょう。そうではなく、自分たちのパーパスを追求する結果としてお金が得られるのだという考え方もあると思います。EYの場合は、特に後者の考え方が強くありますね。自分たちがやっていることが、自分たちのパーパスにアラインしているかということを強く意識した上で意思決定とアクションを行い、アクションを見直すときも、その軸に基づいて様々なことを検討しています。
セクターとテクノロジーとのコラボレーションで新たな価値を創出する
EL
ITをはじめ、テクノロジー領域とも密接な関係があると思われますが、貴社内ではセクターのメンバーとテクノロジーのメンバーでは、どのような連携をしているのでしょうか。
佐野様
私は立場的にはセクター側のコンサルタントですが、棲み分けというような考え方はしていません。業界のトレンドや制度・ITを含めた新しい技術の開発、新しい治療方法や製剤の開発・デジタルトランスフォーメーションが業界にどのような形で浸透しているかの潮流を捉えつつ、各企業のCxOやビジネスリーダーと意見交換をします。そこでは当然、皆さん課題やチャレンジが出たりするわけです。例えばビジネスユニットの方の場合、自分たちのビジネスにパイプラインとして新薬が出てくる見込みがないとか、そういう時に既存の製品の売上自体をどう維持すべきなのか。セールスアンドマーケティングの体制を、より生産性を高くしてコストをどう抑えるのかなど、自分のビジネスユニットの収益性をしっかり守るためにはどうしたら良いかを考えています。既存のプロダクト自体の生産性を維持するために、営業の効率化をどう推進すべきなのか。マーケティングであれば、デジタルマーケティングやマルチチャネルマーケティングをどう行うべきか。このような議論をしていった時に、例えばデジタルマーケティングのテーマになってくると、今度はテクノロジーコンサルの人たちと一緒に議論し始めます。先ほどお話したデータ基盤のようなものでは、例えばMRの行動をどうデータとして吸い上げて分析し、次の営業行動に対してどのような示唆出しをするのか。これはどんな技術で実現できるのか。AIや新しいクラウドシステムを組み合わせて、何ができるのか議論を深めていきます。ビジネストレンドやチャレンジについての話が具体的になり、ソリューションイメージまで落とし込むところから、テクノロジーコンサルトと連携しています。
EL
全体をリードしながら技術面に関してもセクター側がある程度課題を深掘りし、具体的な実装フェーズに入ったときに、テクノロジーの方も参加して最後まで支援されるという流れですね。
佐野様
そうですね。ここで難しいのは、やはり私自体がテクノロジーのことを知らなければ、そもそもの議論はできません。逆に、テクノロジーコンサルタントの方がビジネスのことを知らなければ、ビジネスとのつながりを無視して、ただのテクノロジーの話をしてしまいます。ですから、お互いのケイパビリティとして専門性を持ちながら、基礎的なところはお互い理解しておかないと、本当にワンチームとして動けないと考えています。
選考ではテクニカルスキルのみを重視するわけではない
EL
求める人材像についてお聞かせください。
佐野様
コンサルティングファームとして、ロジカルシンキングや、仮説思考・論点思考に対して訓練を受けていてポテンシャルがある方を望むのは当然です。また、HS&Wセクターの場合、ヘルスサイエンスのような業界的な知見をはじめ、グローバルなカルチャーの経験といったハードスキルやテクニカルスキルも必要です。ただ、これらすべての根底になるものとして大切なことは、先ほどのパーパスを理解・共感できるかということ。そして、自分が世の中に何を成し遂げたいのかということに関して、本気で取り組める姿勢です。なぜかというと、コンサルスキルが優れていて英語がバイリンガルで流暢に話せたとしても、向いている方向が全然違ったり、自分だけよければよい、人を蹴落として成長しようとする人がいた場合は、逆に妨げになると思うのです。ですから、土台となるものは当然必要ですが、根底には同じ方向を向いて、自分自身がこの世の中にどう影響を与えたいのかということを真剣に考え、それをEYで実現したいと思っている方に来てもらいたいですね。
EL
そのような方向性の一致については、選考の場でどのように見ているのですか
佐野様
まず私自身が正直に自分の考えをストレートにぶつけます。それに対する反応を見ていますね。面接だけ取り繕って入ったとしても、本心が異なるなら必ずお互い後悔します。だから選考では本当のところをしっかり表現してほしいです。一歩踏み込んで心の底を見た時に、同じ方向を向いているかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それはお互いが今後プロフェッショナルとして成長するために必要なプロセスですよねと。当然ですが、EYに入ることが目的ではなくて、入った後に活躍していただくことが目的です。
他方で、EYの成功例だけでなく、上手く行かない例も率直にお伝えしています。また、EY自体の強みも、実際にはまだまだ成長しなければならないポイントもオープンに話をします。お互いに認識を揃えて、それで一緒にやりましょうとなるのがベストですね。
EL
今後の方向性として、当セクターをどのように成長させていきたいかお聞かせください。
佐野様
先に述べた“ライフサイエンス4.0”、つまりライフサイエンスとデータサイエンスの融合を実現するために、製薬・医療機器といった業界に関しての知見が何より大切だと考えています。現状の制度や、今後の在り方、各社の動向、どんなチャレンジがあるか、それに対してどう進んで行くかについては、私たちが一番深く理解していて、それに対して自信を持って提言できる存在にならないといけないと、メンバーには常々言っています。そういう意味では、まずセクターのコンサルタント一人ひとりが、「この業界で自分がナンバーワンのコンサルタントだ」と思えるくらい徹底した勉強をし、クライアントへの提言としてアウトプットし続けることが大事です。私たちが本当に実現したいパーパスは、当然、今いるメンバーだけでは実現できません。同じ思いを持つ優秀な方を募っていきたいと思っています。
EL
最後になりますが、候補者の方に一言お願いします。
佐野様
ヘルスサイエンス業界を変えたい、コンサルタントとして業界を変えたいと思っている方は、是非EYで一緒にチャレンジしてください。私たちの仲間は、全員が同じ思いです。そのチャレンジを実現できる場所はEYだと思っていますし、世の中に影響を与えることができる皆さんの成長の場が整っている環境もEYだと思っています。是非一緒に働きましょう。
企業プロフィール
Profile
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
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佐野 徹朗 様
医薬・医療セクターコンサルティングリーダー パートナー
長年の海外での就業経験からグローバル案件を得意領域とする。信条は「誠実」「信頼」「共感」「コミットメント」。EY Japan 医薬・医療セクターコンサルティングリーダー パートナーを務める。 EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のパートナーとして、製薬・医療機器分野など、国内外ライフサイエンス企業に対する経営コンサルティングに従事する。 メディカル、コマーシャルからR&D、サプライチェーンに至るまでバリューチェーン全域を対象として支援を行う。また、ライフサイエンス業界のビジネストランスフォーメーションを積極的 に推進しており、業界企業・団体向けに関連セミナーや講演を多数実施する。 ロンドンビジネススクール金融学修士、オックスフォード大学経営学修士。ケンタッキー州立大学会計学専攻。