デジタルトランスフォーメーション特集⑤ デジタルトランスフォーメーションにおけるコンサルタントの役割
Post Date:
2019-12-26 / Update-date:
2021-05-26 /
Category:
IT・デジタルコンサル特集
前回までのDX特集で、「DXとは何か」「DXを推進するにはどうすればいいか」を解説してきましたが、最後となる今回は、DXにおけるコンサルタントの役割について考えていきたいと思います。
- (ご参考)DX特集全体構成
- デジタル化のフェーズごとのコンサルタントの役割
- 組織改革に関するコンサルタントの役割
- 主要コンサルティングファームのデジタルトランスフォーメーション支援概要
- デジタルトランスフォーメーション支援の事例
- DX特集全体のまとめ
(ご参考)DX特集全体構成
第1弾:「コンサルティング業界から見たデジタルトランスフォーメーションとは」
第2弾:「日本のデジタルトランスフォーメーションの現状」
第3弾:「デジタルトランスフォーメーションの本質と戦略策定方針」
第4弾:「デジタル組織への変革」
第5弾:「デジタルトランスフォーメーションにおけるコンサルタントの役割」(本記事)
デジタル化のフェーズごとのコンサルタントの役割
第1弾記事(https://www.executive-link.co.jp/column/1764/)において企業のデジタル化を
- デジタイゼーション:局所的にアナログ情報をデジタル化する
- デジタライゼーション:ビジネスモデル全体をデジタル化する
- デジタルトランスフォーメーション:デジタライゼーションの結果、新たなビジネスモデルが生まれるといった社会的な変革が起こる
の3つに分けました。まずはこのフェーズごとにコンサルタントの役割を検討していきます。
もちろん、これらのフェーズが明確に分かれているわけではなく、一気通貫してプロジェクトにあたる場合もありますが、便宜上このように分けさせて頂きます。
デジタイゼーション
人事システムや会計システムといった機能別のシステム導入が中心であり、システム導入PMOとしての役割を担います。
総合系/IT系のコンサルティングファームが主に担う領域です。近年ではパッケージシステムも豊富にあるため、SIerが担う場合もあります。
<主な業務>
- 課題要件定義
- システム設計/開発
- システム導入に関わるPMO
デジタライゼーション
業務全体の効率化のため、ERPパッケージの導入や基幹システムの刷新を行います。また、RPAやAI/ビッグデータの活用を行うケースも増えてきています。
また、BPRを行い、業務効率化支援をする場合もあります。
主に総合系/IT系コンサルティングファームやシンクタンク系コンサルティングファームが担います。
<主な業務>
- BPR
- IT戦略立案
- システム開発/導入
- RPA、AIなどの最新技術の導入
デジタルトランスフォーメーション
企業全体のデジタル化にあたって、中長期経営戦略に立脚したデジタル戦略立案を支援します。業務の内容としては一般的な戦略コンサルティングを同様ですが、デジタルやITに精通している必要があります。
主に戦略系コンサルティングファームや総合系コンセルティングファームの戦略部門が担います。なお、戦略ファームではこの領域を強化するためにデジタル人材の確保や、ファーム内でのデジタル組織立ち上げを進めております。
<主な業務>
- デジタル戦略立案
- デジタル戦略を盛り込んだ中長期経営計画立案
- デジタル組織戦略立案
- アクションプラン提案
組織改革に関するコンサルタントの役割
組織改革コンサルティングについてはこちらの記事にまとめておりますので、ご参照ください。
主要コンサルティングファームのデジタルトランスフォーメーション支援概要
マッキンゼー・アンド・カンパニー
マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、経営者にとって、デジタルの活用は企業の命運を握る戦略上の重要課題であるとし、デジタル領域の高い専門性とマッキンゼーが持つネットワークを活かし、完全に中立的な立場から、クライアントのデジタル変革を支援支援しています。
具体的な取り組みとしては、
- デジタル戦略の立案とBOTによるデジタル変革の実行
- データ・アナリティクスからビジネス・ブレークスルーの創出
- 全く新しいデジタル・エクスペリエンスの提供
- ITのモダン化・デジタル組織の構築
を挙げています。
(参考:https://www.mckinsey.com/jp/careers/digital)
アクセンチュア
アクセンチュアでは、デジタル化に関して以下の3つに取り組んでいます。
- Accenture Interactive
「顧客体験を起点とした企業変革」の実現のために、ブランド戦略、顧客体験設計、マーケティング戦略立案、キャンペーン企画・実行、顧客分析、コンテンツ・マネジメント、コマース事業基盤構築を含む全方位的なサービスを通じて、お客さまの飛躍的なビジネス成長に貢献します。 - Accenture Applied Intelligence
探索的データ解析にモデリングを融合させるとともに、人工知能の競争優位性と人間の英知を最適な形で組み合わせることで、企業や組織の課題ごとに個別に設計したアプローチを提供します。 - Accenture Industry X.0
製造業の産業レベルでの改革を支援しています。具体的にはイノベーション、デザイン&製品設計、製造、サービス&サポートをビジネス変革のための4つの鍵としています。
(参考:https://www.accenture.com/jp-ja/digital-index)
日立コンサルティング
日立コンサルティングは今後訪れるデジタル社会を「仮想世界」と「現実世界」の関りに重点を置いて捉えています。そして、こうした環境の中でどのようにビジネスを形成していくかがカギになっていると述べています。
ビジネスへの適応例として以下のものを挙げています。
- ワークスタイル改革・組織改革
- オペレーション改革
- マーケティング活用
(参考:https://www.hitachiconsulting.co.jp/solution/digital/digital_trans/index.html)
デジタルトランスフォーメーション支援の事例
日本国内において、デジタルトランスフォーメーションは未だ遅れをとっており、デジタル戦略立案から組織変革、ビジネスモデルの変革までを一気通貫して支援したという事例は大々的に公開されているものはありません。
そのため、部分的なデジタライゼーションも含めて事例を紹介していきます。
- トップのコミットメントで進化ベトナムの先進的RPA導入事例―アビームコンサルティング
縫製産業の拡大が続くベトナムで、業績を伸ばすYKK ベトナム社。アビームコンサルティング(ベトナム)は、同社のRPA 導入を支援した。RPA 導入は、国内では「働き方改革」の文脈で語られることが多いが、同社の取り組みはそれとはまったく異なる。人件費の低い東南アジア市場でRPA を導入する真の狙いと効果について、同社社長の敷田透氏とオペレーションマネジャーの三戸芳和氏に伺った。
(参考:同社HP https://www.abeam.com/jp/ja/case_study/CS114)
- オハイオ州、ビッグデータが幼い命を救うーアクセンチュア
米国で乳児死亡率が最も高い州のひとつであるオハイオ州は特に深刻な状況にあり、2017年の統計では1,000人中7人の乳児が1歳になる前に死亡しています。
そしてその背景には、統計情報だけでは見えてこない人種間における深刻な格差が存在しています。統計の要素をさらに詳しく分析した結果、オハイオ州では黒人の乳児が1歳の誕生日を迎える前に死亡する確率は、白人の乳児に比べて3倍以上も高いことが分かりました。
思い切った対策を打つ必要があると判断したオハイオ州のリーダーたちは、深刻化する課題の複雑さを深く理解し、危険な状態にある母子に対する医療支援サービスを変革するために、ビッグデータ分析に基づく取り組みを開始しました。
(参考:同社HP https://www.accenture.com/jp-ja/case-studies/public-service/ohio-infant-mortality)
- 深層学習を使ったPoCが創出する価値定量化とカスタマーを巻き込んだマネタイズモデル設計―EYアドバイザリー
A社のAIタスクフォース・チームは、カスタマーと共に深層学習を使ったPoCを手掛けていましたが、PoCのマネタイズに苦戦していました。そのため、深層学習とビジネスデザインの双方に精通したコンサルタントの支援が必要であると考え、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(以下、EYACC)のイノベーションチームを起用しました。
このプロジェクトのスコープは、A社のAIタスクフォース・チームとPoCを手掛けるカスタマーの協力も得ながら、PoCの創出する価値を定量化し、設計したマネタイズモデルをカスタマーと合意することでした。
(参考:同社HPhttps://www.eyadvisory.co.jp/services/innovation/case-study/case-study-innovation01.html)
DX特集全体のまとめ
ここまで、5回に渡りデジタルトランスフォーメーションについて解説して参りました。その中で見えてきたのは、日本企業のデジタル化が遅れていること、そしてデジタル化の対応が急務であることでした。
社会全体のエコシステムまでが関わってくる領域であり、1企業内のみで解決できる課題の域を大きく超えていることがわかります。その中で、ナレッジを蓄積し、それをより深化させていくことを1つの提供価値としているコンサルティングファームの役割は今後より重要となっていくでしょう。
もちろん、簡単な業務ではありませんが、影響範囲が大きなものであり、やりがいも大きいことでしょう。
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DX特集全体構成:
第1弾:「コンサルティング業界から見たデジタルトランスフォーメーションとは」
第2弾:「日本のデジタルトランスフォーメーションの現状」
第3弾:「デジタルトランスフォーメーションの本質と戦略策定方針」
第4弾:「デジタル組織への変革」
第5弾:「デジタルトランスフォーメーションにおけるコンサルタントの役割」(本記事)
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