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デジタルトランスフォーメーション特集② 日本におけるデジタルトランスフォーメーションの現状

Post Date2019-12-26 / Update-date2021-05-26 /
CategoryIT・デジタルコンサル特集

前回の特集記事の終わりに日本企業はDXへの対応が遅れていると書きましたが、今回は具体的に日本のDXの現状とその要因について考察していきたいと思います。

  1. (ご参考)DX特集全体構成
  2. 日本のデジタルトランスフォーメーションの現状と要因
  3. DX記事参考資料

(ご参考)DX特集全体構成

日本のデジタルトランスフォーメーションの現状と要因

差別化要因の弱体化

<現状>

かつて、日本の特にハイテク産業はその高い品質を差別化要因として非常に高い競争力を誇っていました。しかし、2000年以降はほぼゼロ成長が続き、逆にグローバルなハイテク企業は圧倒的な高収益体制を実現しています。

<要因>

日本企業のDXの遅れは、品質に対する信仰を捨てきれなかったことで、デジタル化によって起こったビジネス環境変化への対応の遅れたことが主な要因として挙げられます。

  • 日本企業の品質に対する信仰

日本企業は、高度経済成長期に高品質な製品で他国との差別化を実現し、高い利益を出していました。これは、日本の企業に特徴的であった垂直統合の生産方式によるノウハウのブラックボックス化と日本人の勤勉さが可能にしたものでした。
こうして、他国との品質による差別化で高い利益を出していくうちに、日本企業の中には「品質=価値」という式が無意識のうちにできていました。そのため、新しい製品を出す際には既存モデルよりも優れた製品でなければならず、従って価格も高くなっていきました。

  • デジタル化の進展による生産者、消費者双方の環境の変化

《生産者の環境変化》

デジタル化によって部品及び製品の標準化が安易にできるようになったため、共通部品を集めて製品を製造するという水平分業のモデルが生まれました。このモデルにおいては、標準化部品を利用しているため製品そのものも標準化されていき、安価に大量の製品が作れるようになりました。また、共通部品は取換え可能なためモデルチェンジも容易に可能なモデルです。

《消費者の環境変化》

デジタル化の進展に伴って、消費者の行動も変化を続けています。
かつては製品・サービスの「所有」に重きが置かれていたのに対して、近年では製品・サービスから得られる「経験」に重きが置かれるようになっています。そのため、シェアリングサービスや、C to Cサービス、及びそれらのプラットフォームビジネスが発展してきています。結果として、「モノの所有は最低限に抑え、様々な経験に対して投資をする」という消費者行動が目立つようになりました。

  • 日本企業の対応の遅れ

上記のようなビジネス環境の変化に伴って、以下のような問題が発生しました。

  • デジタル化の進展及び水平分業化による製品の標準化で、他国が品質面で追随してきたため、差別化が困難になった。
  • 消費者行動の変化により、どれだけ品質を高め、機能を豊富にしても製品が売れなくなった。

こうした問題があったにもかかわらず、日本企業はどこか慢心的に構え、品質を追求する姿勢を改めることができなかったためDXが遅れてしまったと言えるでしょう。

「2025年の崖」

<現状>

経済産業省の「DXレポート」では、2025年には21年以上使用されている基幹システムが6割に達し、その保守・運用の費用がIT投資の9割以上になってしまうと推定しています。また、IT人材不足も2015年の17万人から43万人まで拡大すると考えられています。

また、既存システムを保守・運用してきた世代が退職してしまい、システムそのものがブラックボックス化しているケースもあり、システムの変更がそもそも難しくなっている場合があります。しかし、既存システムを放置すれば年々その保守・運用コストは高騰していき、人材も割くことになるため、長期的にみると払う必要のないコストを払うことになってしまいます。

(出典:経済産業省 DXレポート)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf

経済産業省はこれらの問題を「2025年の崖」として、2025年までに集中的にシステム刷新を推進していく必要があるとしています。

<要因>

  • ITに対する距離感

日本企業では長らく「ITは業務を効率化するもの」として扱われ、導入されてきました。そのため、IT部門は企業にとって積極的に投資される部門ではありませんでした。もちろん、企業の規模が大きくなるに従って社内リソースの管理が人手では困難になるため、基幹システムなどには投資されましたが、ITを用いた事業を作るという発想にはならず、基幹システムの保守・運用にばかりリソースが割かれてきました。

  • 老朽化システムへの投資の増大

老朽化システムは年を追うごとにそのランニングコストが大きくなると考えられています。これは絶対的な部分と相対的な部分があります。

《絶対的》

  • 老朽化フレームだと、新規機能をつける上で複雑なコーディングが必要となる場合が多く、システム開発費用が大きくなる
  • 老朽化フレームを使い続けると不具合発生確率が上がり、運用に余計なコストがかかる。

《相対的》

  • 最新システムを使用した場合と比較して処理効率で劣るため、システムの運用に割く時間が多いことになり、コストがかかっていると言える。

また、保守・運用に割かれるリソースもごくわずかであり、担当者が退職するとそのシステムを扱える人がいなくなるという懸念もあります。結果としてシステムのブラックボックス化や、システムのランニングコストの増大、システム移行の複雑化を招きます。IT投資の重要性が認識され始めた現在でも、既存システムが足枷となりIT投資ができていない企業が多くあります。

日本発デジタル・ディスラプターの不在

<現状>

デジタル・ディスラプターとは「創造的破壊者」とも言われ、社会の変革をいち早く読み取り、顧客が(潜在的に)求めている新たなサービスを“創造”し、デジタル技術を用いて行う事で“破壊的”にシェアを拡大している企業のことを言います。(詳しくは前回の記事を参照ください。)

具体的な企業でいうと、UberやAirbnbが挙げられ、日本でも急速に規模を拡大していますが、これらは海外企業であり、日本発のデジタル・ディスラプターは未だ現れていません。

<要因>

  • 起業環境の整備不足

近年は日本でもベンチャー企業と言われる企業の台頭が見られはするが、未だ外的環境、内的環境共にデジタル・ディスラプターを育成するには不十分であると言わざるを得ません。

《外的環境》

  • スタートアップ時の資金の貸し手の不足
  • 事業の指南役の不足

《内的環境》

  • 数億円の企業価値を目標値とし、その後はバイアウトの戦略をとる場合が多い
  • 目標値の高い起業家が海外に流出する
  • 法的規制による課題

金融やエネルギーなどの法的規制によって保護されている業界においては、新規参入障壁が非常に高く、デジタル技術によるイノベーションが起こりにくい傾向があります。
金融業界でのFintechに関する規制は徐々に緩和されてきてはいますが、本格的なイノベーションア起こるのはまだ先になりそうです。

こうした中で、企業がとるべきDX戦略とは

ここまで、日本及び日本企業のDXの現状とその要因を見てきましたが、それを受けて日本企業が実際取るべきDX戦略とはどのようなものなのでしょうか。

こちらはDX特集第3弾の記事において詳しく検討していきたいと思います。

DX特集全体構成:
第1弾:「コンサルティング業界から見たデジタルトランスフォーメーションとは
第2弾:「日本のデジタルトランスフォーメーションの現状」(本記事)
第3弾:「デジタルトランスフォーメーションの本質と戦略策定方針
第4弾:「デジタル組織への変革
第5弾:「デジタルトランスフォーメーションにおけるコンサルタントの役割

DX記事参考資料

・ 日系BP出版 ベイカレント・コンサルティング社書籍「デジタルトランスフォーメーション」

・「DX推進指標」経産省
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-2.pdf

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