コンサルファームと投資ファンド(PE)はどちらに転職すべき?
Post Date:
2020-03-12 / Update-date:
2023-07-31 /
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キャリア・働き方特集 サービス別特集
ポストコンサル転職において、その選択肢の1つとしてPEファンドがあります。
詳細は記事の中で説明いたしますが、未公開株を扱っており、個人投資家に対して門戸をあまり開いていないため、詳しくご存知の方は少ないかもしれません。
今回はPEファンドとは何か、ポストコンサルでPEファンドに行く方にはどのようなスキル/人物像が求められるか、解説していきます。
- PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)とは
- PEファンドとコンサルティングファームの違い
- PRファンドとコンサルティングファームへの転職はどのようなひとにおすすめ?
- 近年のPEファンドの採用傾向と難易度
- コンサルからPEファンドへの転職のステップ
- PEファンドへ転職するメリット
- PEファンドへの転職で注意すべきこと
- まとめ
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PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)とは
PEファンドとは、オルタナティブ投資の1つで、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を基にベンチャー企業を中心とする事業会社や金融機関の未公開(=プライベート)の株式(=エクイティ)を取得し、その経営に深く関与することで企業価値を高めた後に売却をします。そうすることで高いIRR(内部収益率)を獲得することができるとされています。
企業に対して投資するだけでなく、経営にも参画するというのがPEファンドの特徴といえます。
PEファンドとコンサルティングファームの違い
PEファンドが企業の経営に深く入り込むということを知ると、コンサルティングファームと同様の業務なのではないかと考える方もいるかと思います。当然、経営者目線でより企業価値を高めるという点では共通していますが、いくつか異なる点もございます。
この違いを理解した上での意思決定をお勧めいたします。
① ソーシング
PEファンドにおいて実際にソーシングを行うのはディレクター以上の長年の経験者が中心ではありますが、ファンドの実務者にもバリュエーションやDD、その他M&Aやファイナンスに係る実務の知見が求められます。
② 参画する年数
コンサルティングファームが数カ月~1年単位のプロジェクトで動くのに対し、PEファームは数年、長ければ10年程度経営に参画することとなります。
③ 経営を行う上での立場
コンサルティングファームはあくまでも外部からのアドバイスをするという立場ですが、PEファンドの場合、企業を買収することが多いため自身が経営権を持ちます。
現場の経営には自身で採用したプロ経営者を送り込むことも有りますが、その経営者たちと二人三脚で現場での改革にあたります。
④ 成果の定義
コンサルティングファームにおける成果は単純な利益の増加だけでなく、業務改善による労働時間の削減などの数字では見えにくい部分も含まれますし、すぐさま効果が表れるのではなく例えば中計の3年間をかけてじっくり進めていくものもあります。
一方で、PEファンドの成果は企業価値向上が全てであり、いかに業務改善したかは重視されません。(もちろん企業価値向上につながる業務改善であれば間接的には評価されます。)
⑤ 成果に対する報酬額
コンサルティングファームは月単価での契約が多く、成果報酬型だとしてもクライアントの利益と連動しているわけではありません。
一方で、PEファームにおいては利益を上げ、企業価値を向上させた分だけ報酬が増加します。ファンド社員の個人報酬も売却報酬時のキャリーに左右されるため、より成果を意識したアクションを進めます。
⑥ 成果に対するコミット
決してコンサルティングファームが成果に対するコミットが低いわけではありませんが(むしろ世間一般で見ると非常に高いと思われますが)、PEファームはそのビジネスモデルから分かる通り、投資家に対してリターンを支払う必要があり、コンサルティングファーム以上に(短期~中期での)成果に対する強いコミットが求められます。そのため、一例ではありますが、必要な場合には人員含むコストの大幅削減、市場への見え方を意識したマーケティング改革等、を進めなければなりません。
PRファンドとコンサルティングファームへの転職はどのようなひとにおすすめ?
PEファンドへの転職がおすすめの人
PEファンドは投資家から資金を調達し、その資金を企業に投資することで利益を上げるのが基本的なビジネスモデルになるため、投資に興味がある人はPEファンドに向いています。また、PEファンドの業務は、投資先企業の財務分析や財務モデリングなど、数字に基づく分析や評価が中心になります。そのため、数学や統計学など、数字に強い人もPEファンドに向いていると言えるでしょう。
コンサルティングファームへの転職がおすすめの人
コンサルティングファームの仕事は、クライアントのビジネス課題を解決することです。複雑な課題解決に取り組むことから、リサーチ力や分析力に優れた人や、戦略的思考、論理的思考に長けた人はコンサルティングファームへの転職がおすすめです。また、様々な業界や企業に関する知識を習得する必要があるため、学習能力に優れ、新しい情報や知識を素早く吸収できる人もコンサルティングファームに向いています。
代表的なPEファンド
カーライル・グループ
世界規模で展開する投資ファンドです。「バイアウト」「グロース・キャピタル」「リアルエステート」「レバレッジド・ファイナンス」の4分野で投資ファンドを運営しており、テレコムやヘルスケアなどの幅広いセクターに投資しています。
ベインキャピタル
世界でも最大規模のプライベート・エクイティ・ファンドです。世界14ヵ所にオフィスを構えています。
プライベート・エクイティ投資及びベンチャー・キャピタル投資を行うことが多いですが、上場株式やクレジット商品への投資にも携わっています。
ユニゾンキャピタル
1998年にゴールドマンサックスの出身者等により独立系ファンドとして創業しました。
日韓の連携が強く、韓国ファンドも運用しており、注力分野は消費財/サービス/小売、ニッチ製造業、ヘルスケア等です。
インテグラル
日本国内の上場・未公開 企業等を対象とした日本の独立系プライベート・エクイティ投資会社として、2007年9月に創業しました。『Trusted Investor』を経営理念として、経営陣との信頼関係を礎にし、長期的視野に立ってエクイティ投資を行います。
リサ・パートナーズ
企業・債権・資産のビジネス領域において、投融資からアドバイザリーまで横断的に広範囲に事業を展開しています。 投資とアドバイザリー機能を併せ持ちながら、企業再生、企業投資、債権投資、不動産投資、不動産ソリューションなどをメインに、投資銀行業務に取り組んでいます。
サーベラス・グループ
サーベラス・グループは、主に不採算企業の建て直しを図り、企業の事業再生に向けた投資を行うことが多いです。投資先企業の事業再生に向けた技術開発、新製品のマーケティング、社員育成、オペレーション改善、戦略的買収の支援等、長期的な視野に基づいている投資が多いです。
近年のPEファンドの採用傾向と難易度
PEファンドの採用市場では、2014年頃から求人が一貫して増加傾向にあり、多少の不況下においても変わらず求人が続いています。外資系大手ファンドでもある程度そうですが、特に日系の大手・中規模ファームが採用枠を増やしています。これは、海外からの資金に加え、日本でも多くの資金がPEファンドに充てられるようになり、ファンドの規模が拡大した為だと考えられます。これに伴い、特に日系ファンドにおいて、多くのファンドで20代後半~30代前半の若手を中心とした採用が増えています。近年の特徴の一つだといえるでしょう。全体としては、大半がアソシエイトクラスの採用で、VP以上の採用は多くありません。
PEファンドにおいて、外資系投資銀行または戦略コンサルティングファーム出身者が過半数以上を占めていることに変わりはありませんが、特に内資独立系PEファンドにおいて、上記以外の業界の人材を採用するケースも増えています。具体的な例を挙げると、
・Aさん(工学研究科修士号取得)
大手自動車メーカーの車両設計・商品企画部門⇒内資独立系PEファンド
・Bさん(公認会計士)
監査法人において会計監査業務に従事⇒内資独立系PEファンド
・Cさん(MBA取得)
国内大手総合商社⇒内資金融系PEファンド
・Dさん(弁護士)
法律事務所⇒外資系PEファンド
などです。
一方で、求人が増加しているからといって、各社が採用基準を緩めているわけではありません。また、一部を除き各ファームの採用枠は1-2名と非常に限られており、数少ない採用枠に多数の候補者が応募されています。ファーム側としても、少数精鋭体制のため、採用には時間と労力をかけ慎重に臨みます。プロフェッショナルなスキルに加えて、人間性も重要な選考基準となっています。これらのことを踏まえると、難易度は非常に高いといえるでしょう。
コンサルからPEファンドへの転職のステップ
総合コンサルからそのままPEファンドへの直接転職
PEファンドでの業務は基本的に企業の買収や売却を扱うため投資銀行でのM&Aアドバイザリーに関する実務経験や戦略コンサルでのキャッチアップ力・戦略立案・仮説構築スキルなどが役に立つ傾向にあります。
総合コンサル出身者であれば、M&Aに携わるチームでない場合、業務改善などのオペレーションなどでプロジェクトに携わることが多くなってしまいます。そのためM&Aに携わるプロジェクトを経験する機会が少なく、PEファンドへの転職においてはスキルセットの面から投資チームでいきなり働くことは厳しい可能性があります。しかし、多様な企業の成功事例を取り扱うMBAを取得してスキルセットを高め、バリューアップとして活躍してからソーシングなどの投資部門へとキャリアを進めていくというステップがあります。
戦略コンサルを経由してからPEファンドへの転職
上記でも述べたように総合コンサル出身者はM&Aのチームに入っていない場合、PEファンドの投資チームへと転職することが難しい可能性があります。そこでPEファンドへと転職をする前に一旦、戦略コンサルへと転職してからM&Aのビジネスデューデリジェンスやアドバイザリー経験を積み、PEファンドへと転職することが現実的だと言えます。PEファンドへ転職する方が多い外資系投資銀行への転職は総合コンサルからですとファイナンス関連のプロジェクト経験を積んでいないと難しいため、総合コンサル出身者は戦略コンサルへの転職をしてからPEファンドへの転職を考えるというステップもあります。
FASを経由してからPEファンドへの転職
こちらも同様に総合コンサル出身者がM&Aや財務関連の経験を積むために一度、FASを経由するというステップです。ただし、FASへの転職後にPMIのチームに携わることになった場合は財務モデリングやコーポレートファイナンスなどPEファンドで役に立つような経験は積みにくくなっています。そのため、M&AアドバイザリーのチームやM&Aを一貫して手掛けるチームなどでの実務経験が重要となってきます。FASであればM&Aに関する実務経験を積むことができ、PEファンドへの転職が成功する可能性も高くなっています。
PEファンドへ転職するメリット
コンサルティングファームと比較してメリットとしては二つあります。
一つ目はコンサルファームよりも会社の経営に密接して関わることができることです。
コンサルタントとして働いていると「最後まで責任をもってクライアントに提案したプランを実行したい」と考える方は少なくありません。コンサルティングファームはクライアント先の課題を解決することが主な仕事です。一方でPEファンドは自分が株主として企業の経営に携わることができるためコンサルタントよりもより深く、経営者の一員として関わることができる点がPEファンドのメリットです。
二つ目は年収の高さです。コンサルティングファームは期間付きの契約型であり、クライアントの利益と連動しているわけではありません。一方、PEファンドでは企業の利益を上げ、企業価値を向上させることで報酬が増加していくことから年収が高く見込める可能性がある点にメリットがあります。
PEファンドへの転職で注意すべきこと
一言でPEファンドといっても、当然のことながら投資スタイルやチーム構成などにばらつきがあります。転職にあたっては各社の特徴を十分に比較検討したうえで、自身の考えやスキルにフィットするPEファンドを選んで入社することが大切です。
他にも重要な点として、PEファンドとコンサルティングファームで働くことの相違点を十分に理解する必要があります。コンサルタントの仕事と異なり、PEは守備範囲が広く、基本的に経営課題であれば何でもやらなければいけません。そのため、特定の分野のスペシャリストではなく、オールラウンドに全ての業務を高いレベルで遂行することが求められます。企業経営に深くかかわるため、時には、リストラや抜本的な改革など、痛みを伴う辛い仕事もやり遂げなければなりません。さらにPEファンドでは、一度始まった案件の担当から外れることはなかなか難しいので、担当企業で思わぬトラブルに見舞われ、経営再建が困難になる場合などには、インセンティブボーナスも少なくなる上、自身のキャリア形成も厳しいものになってしまいます。
このように、一度担当した業務を、責任を持ってやりきる胆力と、大きなリスクを伴うことへの覚悟が必要な職種です。安易な憧れや、不明瞭な志望動機で転職活動を進めてはいけません。
まとめ
数年前まではポストコンサル(特に戦略ファーム)の代表的例は(成熟企業へのバイアウトを行う)PEファンドであり、かつ現役ファームコンサルタントの中でも憧れの一つではありました。現在はベンチャーやスタートアップが盛り上がる中でその経営ポジションや、VCを選ぶ方も多くなりましたが、未だに一定数はPEファンドを選ばれており、またコンサルティングファームのプロジェクトの中でもファンドとの協業案件(DDや投資後の戦略策定/実行をコンサルファームと協力して行うもの)も増えております。
上記の通り、高いビジネススキルに加えて現場力や成果をあげるための実行力/胆力が求められる難しい仕事ではありますが、同時にその経験はPEファンドに残らない場合でもその後のキャリアに大きくプラスに働くでしょう。
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