銀行員だからできるコンサル業界への転職【キャリア・スキルアップ】
Post Date:
2020-02-20 /
Category:
金融コンサル特集

コンサルティング業界への転職支援をしていると、コンサルタントへの転職を考えている銀行員の方が多くいらっしゃいます。
本記事では、銀行員からコンサルタントに転職するメリットとコンサルティング業界で重宝される経験について解説していきます。
- 銀行員からコンサル業界への転職するメリット
- 銀行からコンサル業界へのよくある転職理由
- 銀行とコンサルの違いについて
- コンサル業界の転職先の種類
- 銀行員がコンサルティング業界で評価される経験・スキル
- 必要な転職準備
- まとめ
銀行員からコンサル業界への転職するメリット
銀行員の転職先として今なぜコンサル業界が人気なのか、その理由とコンサル業界に転職するメリットについて紹介していきたいと思います。
新規事業案件に携われる機会と大きな裁量を持って働ける機会
いち銀行員として働いていると、銀行として新たに取り組む新規事業案件に携わったり、特に若い年次では自身で裁量を持って働いたりということはなかなか難しいですが、コンサル業界に転職することで、携われる領域や仕事をする上での裁量を広く持つことが可能となります。
かわりに業務を行う上でのプレッシャーも当然大きくなるわけですが、ビジネスパーソンとしての成長の機会も多く、やりがいや達成感を感じやすいというメリットがあります。
将来のキャリアの幅が広がる
コンサル業界へ転職することで将来のキャリアの幅を広げられるという点も転職希望者が多くなっている理由の一つです。
銀行員として働き続ける場合には社内での出世を目指していくというのが基本的なキャリアとなりますが、コンサル業界へ転職することでキャリアに幅を持たせることができます。
例えば、戦略系のコンサルティングファームであれば、その後のキャリアでは会社の経営企画担当を務めたり、スタートアップやベンチャーの重要ポジションを目指したりすることも可能です。
また、コンサル業で新たに培ったスキルを活かして自分で起業するという手段も出てきます。
銀行員として身に着けてきたスキルを活かしやすい
詳しくは本記事内で後述もしますが、銀行員として身に着けてきたスキルが活かせる、評価につながるという点もコンサル業界が転職先として人気の理由となります。
転職先で全くすべての仕事を一から覚えなおすと考えると気が引けてしまいますが、これまで銀行業務で培ったスキルを活かせると考えられると気が楽になるはずです。
以上のような理由があるために、銀行員のコンサル業界への転職は今人気となっているのです。
銀行からコンサル業界へのよくある転職理由
コンサル業界への転職理由は人それぞれになりますが、上記に挙げたようにキャリアアップを目指す内容が多くなっています。
その他にも、銀行の業務を続けていく中で、「このままで良いのか?」という疑問を持ち、コンサルタントとして新たな道を切り拓いていく方々は多くいらっしゃいます。
銀行出身の転職者の多くが口を揃えて、おっしゃるのが、前職で感じた「不安」とコンサル業界への「期待」です。
銀行業界には、まだまだ古い体制が残っている部分もあり、個人が適切に評価されていないと感じたり、ウェットな人間関係に疲れたと感じたりする場合もあるようです。
その結果、コンサルタントの自分の実力と成果によって評価が決まり、論理的な議論によって、業務を進める環境を求めて転職したという方も多く存在します。
銀行とコンサルの違いについて
銀行とコンサルファームでは、クライアントの企業との関わり方が異なります。
銀行の主要業務である融資は、企業の業績を確認し、貸付の返済可能である保証がある場合に融資を行うというものです。貸付を通じて実現される施策により、企業の業績が伸びることは十分にありますが、銀行は直接企業の経営に介入することや、業績アップの施策を行うことについては、アドバイスは出来ても深くは関われません。
それに対して、コンサルタントの業務は、企業の中に入り込み、経営問題を発見し、解決策を提案、実行することで業績アップを目指すというものです。
このように、コンサルファームの業務は、クライアントの業績を上げることを目標としているという意味で、常にクライアント視点に立つ業務であり、銀行出身者はこの点に魅力を感じる方が多くいらっしゃいます。
コンサル業界の転職先の種類
一口にコンサル業界といっても、その種類や形態、業務内容はさまざまです。ここではまず、その各種コンサルの特徴や業務内容、転職する際に求められるスキル、該当の有名企業について紹介していきます。
戦略系コンサル
企業の経営陣が抱える様々な課題に対して、コンサルティングをおこなうファームが戦略系コンサルです。
コンサルティングテーマは、全社経営戦略からM&A戦略、新興国戦略など幅広く、毎年のトレンドによってもその内容が変わります。
業界全体の情報を分析し、戦略、計画を立案することはもちろん、近年ではプロジェクトの実行にまで関わる戦略系コンサルティングファームが増加中です。
求められるスキル
・経営テーマに関する高い専門性や知見、それらを使いこなすロジカルシンキング
・強いプレッシャーにも耐えられる肉体的精神的な強さ
・高いコミュニケーション能力と実践レベルのビジネス英語力
該当する有名な会社の紹介
・マッキンゼー・アンド・カンパニー
・ボストン・コンサルティング・グループ
・ベイン・アンド・カンパニー
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業務・IT系コンサル
企業の業務プロセスやオペレーション、システム企画・導入に関してのコンサルタントをおこなうのが、業務・IT系コンサルです。
対象業務分野は、会計、組織人事、顧客管理、物流管理などの様々な分野が対象となります。それら分野の業務プロセスをいかに改善するかの分析とアドバイス、顧客の抱える課題をITによるシステム化でいかに解決していくかという要件定義がメインの業務となります。
近年ではクライアント企業の経営グローバル化が進んできているため、国外案件の増加、国外での活躍の機会も増えてきています。
求められるスキル
・会計、組織人事、顧客管理、物流管理などの業界についての経験、知識
・基幹システムや業務システムの要件定義や開発設計に携わった経験、知識
・高いコミュニケーション能力と実践レベルのビジネス英語力
該当する有名な会社の紹介
・アクセンチュア株式会社
・PwCコンサルティング合同会社
・株式会社ベイカレントコンサルティング
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組織・人事コンサル
組織・人事コンサルは、人事制度や人材開発に関してのコンサルタントをおこないます。
顧客の抱える人事的な課題を解決するために、人と組織を変えるためのサポート/提案するのが主な業務となります。
海外進出時の現地労働市場調査やM&Aによる組織統合、退職金・年金/福利厚生制度構築、社員の研修・教育など、業務の種類が多岐に渡ることも特徴的です。
その多様な業務の中でも近年は人材育成(リーダーシップ開発)の需要が伸びてきています。
求められるスキル
・人事企画、研修、採用業務の経験、知識
・対人理解力などのコミュニケーション能力
・実践レベルのビジネス英語力/PCスキル
該当する有名な会社の紹介
・マーサージャパン株式会社
・株式会社グロービス
・株式会社HRインスティテュート
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シンクタンク
シンクタンクとは、経済活動をおこなう様々な市場や業界を研究・分析する研究機関です。
業務内容は、クライアント依頼による経済動向リサーチや政府向けの調査・提言、民間企業の経営コンサルティングなどになります。
ただし、純粋なコンサルティング企業と比較すると、データの調査や分析のみで終わることも多い傾向にあります。
求められるスキル
・有名大学卒などの学歴や職歴
・コンサルタント能力/専門分野の深い知識・経験
・企画力、プレゼン力、PCスキル、分析スキル
該当する有名な会社の紹介
・株式会社三菱総合研究所
・株式会社野村総合研究所
・株式会社大和総研
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特集記事:シンクタンクとコンサルティングファームの違い
FAS
FASとはフィナンシャルアドバイザリーサービスの略語です。フィナンシャルアドバイザリーサービスとは、財務関連のアドバイスやコンサルタントを顧客に提供するサービスとなります。
FASの具体的な業務内容としては、M&Aアドバイザリー業務、企業の資産価値評価、不正調査などが挙げられます。
求められるスキル
・会計資格(公認会計士・USCPA)や会計業務経験、知識
・金融機関における財務分析経験やM&A業務の実務経験
・コンサルティング業務の経験、知識
該当する有名な会社の紹介
・EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社
・フロンティア・マネジメント株式会社
・株式会社 KPMG FAS
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FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)概要
事業再生・ハンズオン型支援
事業再生とは、業績の低迷や悪化で経営危機となっている企業に対して再生支援をおこなうという業務内容になります。
ハンズオン型支援とは、経営計画の立案や提案だけでなく、実際にクライアント企業に入り込み業務や財務などの改革をおこなっていくというタイプの支援です。
こうしたハンズオンでの事業再生をメインでおこなっているファーム(企業)も存在しています。
求められるスキル
・経営企画やM&Aの経験
・企業財務に関する知識
・プレゼン能力や高いコミュニケーション力
該当する有名な会社の紹介
・株式会社 経営共創基盤
・株式会社ジェネックスパートナーズ
・イーソリューションズ株式会社
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監査法人
監査法人は会計監査業務とアドバイザリー業務、2種類のサービスを提供しています。
それぞれの具体的な業務内容は主なものとして、財務諸表監査、内部統制監査、財務報告アドバイス、内部監査サービスなどが挙げられます。
近年ではいずれの監査法人もアドバイザリー業務に力を入れるようになってきています。
求められるスキル
・会計に関する知識
・対人理解力などのコミュニケーション能力
・実践レベルのビジネス英語力/PCスキル
該当する有名な会社の紹介
・有限責任あずさ監査法人
・PwCあらた監査法人
・有限責任監査法人トーマツ
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監査法人概要
ミドルマーケット
中堅・中小企業を対象とした実践的なコンサルティングを提供するファームがミドルマーケットと呼ばれます。
具体的なコンサルティング業務内容としては、M&A、成長戦略、事業承継、組織改革、人材育成など非常に幅広い内容となっています。
求められるスキル
・対人理解力などのコミュニケーション能力
・各業務に必要な専門知識
・中小企業診断士の資格を保有していると高評価
該当する有名な会社の紹介
・山田コンサルティンググループ株式会社
・アタックスホールディングス
・株式会社タナベ経営
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ミドルマーケット概要
銀行員がコンサルティング業界で評価される経験・スキル
ここからは、銀行員として働いてきた経験・スキルがコンサルティング業界でどのように活かせるか、評価されるかという内容を紹介していきます。
企画経験
コンサルティングファームでは経営企画や業務企画、要件定義、海外進出の企画などの様々な企画経験が必要とされています。
転職先候補のコンサルティングファームによって評価される企画立案経験は異なってきます。例えば、戦略系コンサルであれば経営企画、IT系コンサルであればシステム企画や要件定義の経験などが活きてくるといえます。
また、海外進出の企画などであれば汎用性が高いため、いずれのコンサルティングファームであっても評価されやすい傾向にあります。
リスク管理経験
リーマンショック以降、金融機関ではリスク管理体制は強化されています。
そして、その金融機関に対して最新の各種リスク管理体制や手法を提供しているコンサルティングファームでもリスク管理経験のある人材の需要が高まっています。
そのため、クライアント企業の市場流動性リスクや資金流動性リスク、信用リスクなどを業務でアセスメントした経験があれば、その経験はコンサルティング業界でも活かすことができます。
例えば、M&A戦略や企業の再生支援、財務のアドバイザリーなど様々な場面での活用が期待できるでしょう。
コンプライアンス管理経験
リスク管理経験同様、コンプライアンス管理経験もコンサルティング業界では評価の対象となります。コンサルティングファームによってはコンプライアンスに関するコンサルティングをおこなっている企業もあります。
例えば、そうしたファームはコンプライアンスに関するセミナーやコンプライアンス体制の構築、社内監査制度の整備などのサービスを提供しています。
そのため、コンプライアンス系のコンサルティングファームに転職することで、銀行業務でおこなってきたコンプライアンス業務のノウハウを活かすことができます。
IT経験
銀行での業務でIT系業務(基幹システムや業務システムの構築)をおこなっていたという経験がある場合には、その経験をIT系コンサルティングファームで活かすことが可能です。
設計や開発、特に要件定義などの上流工程を経験しているとよりコンサルタント業務を行う上で銀行業務経験が活きてくるでしょう。
仮に上流工程の経験がないとしても、コンサルティングファームによっては自社でシステム開発部隊を抱えている企業もあるのでよく事前に確認するとよいでしょう。
不良債権処理に携わった経験
事業再生系のコンサルティングファームでは、不良債権処理に携わった経験が高く評価されます。
企業の事業再生をおこなうにあたって、「銀行」という存在は非常に重要であり、その銀行が不良債権処理にあたって必要とする情報や業務の内容を知っているというのはコンサルタント業務上大きなアドバンテージとなります。
法人営業経験
法人営業でおこなう、資金貸付のための企業調査、事業承継のサポート、M&A/資産売却のサポートなどの経験はコンサルティング業界でも評価の対象となります。
例えば、M&A戦略を練る、財務アドバイスをおこなう、事業再生計画を立てるなどの法人営業経験は、コンサルティング業務においても役立つ場面があります。
グローバル案件に関わる経験
コンサル業界全体で、海外企業とのM&Aや海外進出といった、ボーダーレスな案件や海外現地チームとの合同案件も増加しております。そのような状況において、ファームはビジネスレベルでの英語力を持つ人材を求める傾向があります。
そのため、海外の金融機関との連携経験や、海外駐在員としての経験がある場合、コンサルタントとして、大きな案件に取り組む可能性が広がります。
必要な転職準備
転職のために必要な準備を説明します。
書類審査
ファームに応募するためには、職務経歴書と(会社によっては)志望動機書を提出する必要があります。
コンサルファームの選考において志望動機は重要ではないと言われることがありますが、実際には、完璧に書けて当然であり、差がつかない部分であるという認識が、正確になります。
そのため、これまでの銀行での経験と結びつけた志望動機を考え、提出書類は何度も確認、添削を行い、完璧なものを目指す必要があります。
詳しくはこちらをご覧ください。
面接・ケース面接
コンサルタントへの転職の場合、コンサルタント未経験であっても、ポテンシャルがあると面接で示すことができれば、成功に大きく近づくことが出来ます。
そのポテンシャルを確認する作業が面接であり、コンサルファームにはケース面接という特徴的な面接があります。
そのため、面接、ケース面接の対策を何度も行い、自分の能力を効果的に伝える練習を行いましょう。
詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
銀行員からの転職先としてコンサル業界は人気の業界となっています。コンサル業界では銀行員として働いてきた経験やスキルを活かすことができ、評価をされる場面も多いです。
コンサルティングファームによってそれぞれ特徴が異なるので、自分にあったタイプのファームを探し、ぜひ転職活動をトライしてみてください。
コンサルティング業界についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧になるとより理解が深まるかと存じます。
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