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日系企業の新興国市場進出を支えるコンサルティングファーム

Post Date2019-12-11 /
Categoryサービス別特集 

世の中のグローバル化が進行するとともに、海外進出によって事業を拡大する日系企業も増えています。コンサル業界でも、大手コンサルティングファームから中堅ファームまで多くのコンサルティングファームがクライアントの海外進出支援を行っています。
その中でも、近年特に注目されているのが新興国市場です。新興国の経済成長は先進国に比べて目覚ましいものがあり、そこで市場を獲得することができれば、企業にも大きな成長をもたらします。

本記事では、新興国市場の動向と、新興国進出のためにコンサルティングファームが行っている戦略モデルの策定を詳しくご紹介していきます。

1. 新興国市場の現在

新興国市場の動向

新興国の人口は、2015年から2030年にかけて17%の増加が予想されています。これは先進国の3倍速にあたり、新興国市場のほとんどが先進国を上回るスピードで成長を続けています。成長する市場のシェアを獲得しようと、有力多国籍企業やローカル企業が競合を続けています。日系企業も、新興国進出する際には、この競争の中に参入していくことになります。
しかしながら、新興国市場では、成長鈍化、地政学リスクの高まり、資源価格下落といった問題も浮彫になってきている側面もあります。新興国経済の多くが急激な成長から安定的な成長へと変化してきており、むやみに新興国市場に進出しても成功をつかむのは容易ではありません。各国・各地域で、情勢や消費者の様相は大きく異なっており、新興国市場の中でもそれぞれの特色を見極める必要があります。

新興国で狙いとなる層

多様に変化する新興国市場においては、国ごとに成長の段階が異なります。市場を支える消費者がどの成長段階にいるかを読み取り、これから需要の高まるものを予測していくことが非常に重要となります。
消費者の生活水準の推移は、経済的な成長と共に基本的には貧困層から中間層、そして富裕層というように上がっていくことになります。ただし、その上がり方は緩やかに推移するというわけではありません。例えば新興国においては、生活に必須の基本的な製品がまんべんなく行き渡ると、利便性の高い製品が爆発的に売れるという消費の推移があります。斯様な傾向を分析することで、新興国市場の中でも狙ったニーズに向けて商品をデザインすることができるようになります。

特に中国では経済成長に伴って、新興中間層の人数の伸びが止まり、代わりに上位中間層や富裕層の人数が伸びています。東南アジア諸国でも、5年から10年後に同様の変化が起こると予想されており、東南アジアの中間層が今とても注目されています。

2. 新興国市場進出のためのハードル

ここまで新興国市場の現在について説明してきました。新興国市場に進出したい企業は数多あるなかで、実際に事業展開に踏み切っている日系企業は限られます。では新興国進出を妨げている要因とはいったいどのようなものなのでしょうか。

以下では日系企業の新興国進出を妨げているポイントについて、いくつかご紹介していきます。

競合相手となる企業

まずは競合相手となる企業について見ていきましょう。新興国市場で活躍する企業には、以下の3パターンが存在します。

グローバル・ジャイアント
グローバル・ジャイアントとは、先進国での事業を基盤に、多数の国や地域に事業展開し成功を収める多国籍企業のことです。豊富な人材や資金、そしてグローバル規模のブランド力といったアセットを活かし、多くの企業が新興国市場進出を成し遂げています。また、事業開発のノウハウの豊富さを活かし、市場・地域に合わせた戦略を取ることができます。

グローバル・チャレンジャー
新興国企業の中でも自国や周辺諸国の市場で圧倒的なシェアを獲得し、さらにグローバルに市場を拡大している企業をグローバル・チャレンジャーと呼びます。新興国の市場成長を支えている中間層をターゲットにした戦略モデルや、新興国特有のノウハウを利用して、成長を続けています。グローバル・チャレンジャーの中には、新興国市場の業界構図をも塗り替えようとしている企業もあります。

ローカル・ダイナモ
ローカル・ダイナモとは地元市場で強力なポジションを築いているローカル企業のことです。ローカル・ダイナモの強みは、現地の顧客の生の意見、ニーズを肌間隔で感じ取り、地元のコネクションを活かした戦略を取れることです。また、政府との繋がりが強い企業もあります。ローカル・ダイナモの中には、成長を続けてグローバル・チャレンジャーになる企業もあります。

 

これらの企業はそれぞれ独自の強みを活かした事業戦略を展開しています。日系企業が競合するためには、その戦略を客観的に分析し、自社独自の強みを活かしたアプローチを考える必要があります。一方で、競合相手はよい取引先やパートナーにもなり得ます。これらの企業とどう戦い、どう協力していくか、その戦略がとても重要になります。

新興国進出の足かせとなる要因

新興国での事業拡大を目指している日系企業が多くある中、実際に事業を展開し成功を収めている企業は限られています。では、何が新興国市場進出の妨げとなってしまっているのでしょう。大きく分けて、2つ考えられます。

新興国に対する人材マネジメントの不足
1つの大きな原因となっているのは、日系企業の人材マネジメントが不十分であるという点です。多くの場合、日本国内の社員と現地労働者との間に大きな隔たりがあります。ハイクラスの役員が現地の雇用人材と接する機会が少ないために、信頼関係が生じずらい状況にあります。現地労働者の昇給が頭打ちになってしまっているケースも多くあり、労働意欲の低下に繋がってしまいます。

現地のニーズに対する理解の不足
もう1つの要因として考えられるのは、現地のニーズや状況に合わせて商品を正しくデザインすることができていない、ということです。先進国ベースで開発した商品を新興国にデザインし直すというのは、ただ単に商品のスペックを下げてコストダウンすればよいということではありません。国内で培ったノウハウをそのまま適用していまうと、成功をつかむのは難しくなってしまいます。

では、実際に新興国企業で現地に即した戦略モデルを作るためには何を気を付ければ良いのか、重要となるポイントを次章でご紹介していきます。

3. 新興国市場で成功するためには

前章では新興国市場進出のために越えなければならないハードルについてご説明してきました。

では実際に日系企業が新興国で成功を収めるには、どのような点に気をつけ進めていけばよいのでしょうか。闇雲に挑戦するだけでは成功に繋がりにくい新興国市場進出も、様々な要素を多角的に検討し、適切な戦略モデルを策定することで、成功の筋道を立てることが可能となります。コンサルティングファームが実際に日系企業をサポートする際には、これからご紹介するような点を意識して戦略を考えていくことになります。

以下では新興国で成功するためのポイントをいくつかご紹介していきます。

新興国市場で活躍している企業の特徴

新興国で成功を収めている日系企業の特徴として、2~3年の中期的な戦略ではなく、10年先を視野にいれた戦略を導入していることがあげられます。その長期的な期間で、自社の強みを最大限に引き出し、安定した経営モデルを作り上げるのです。そのためには、以下の3つの観点から戦略を考えていくことが重要となります。


図1. 新興国で成功するための3つのポイント

A)自社の強みを活かしたイノベーション
自社が日本国内で持っている商品の強みを活かすのはもちろんですが、新興国市場に持ち込む際には、新たにイノベーションを生み出していく必要があります。

生産の面では、既存の商品を低コスト化し、低価格で提供するための改革が必要となります。これは、技術の面のみならず、資材や人材の確保に関しても最適なライン作りを構築していくことが求められます。また、新興国市場においては多様な文化が混在しているケースも多く、特に狙うべき「中間層」がどのような層であるかを随時見極め、ニーズに合った商品をデザインしていくことが求められます。

次に商品流通の面では、新興国においては個人経営の小規模店舗(トラディショナル・トレード)が中心で、スーパーやコンビニといったチェーン店舗(モダン・トレード)が広く分布していない場合も多くあります。トラディショナル・トレードの店舗は、在庫を抱えてしまうリスクを背負うことを好まないため、人気のある商品のみを仕入れる傾向にあります。知名度をいかにして上げていくか、また、これからどのような商品が好まれていくのか、10年先まで見通して将来的に市場に流通するような設計をする必要があります。

これらのことを実現させるためには、戦略モデルを組み立てることが必須です。進出しようとしている市場の動向を探り、消費者の趣向の推移(特に中間層の動向)を把握し、現状のニーズとこれから人気になるであろう商品・サービスの両面からモデルを考えていきます。市場に合わせて、いくつかのモデルを考える必要があるケースもあります。モデルの作り方は、2.2章で詳しく説明していきます。

B)ポートフォリオマネジメント
新興国市場進出における難点の1つとして、投資のリターンが読みにくいことが挙げられます。投資してからリターンが返ってくるまでに大きな時間のずれがあるということです。というのも、新興国市場の魅力である「市場が高速で成長している」という点は、裏を返せば企業にも事業の成長・拡大を余儀なくさせるからです。広範囲で顧客を獲得したいからといって闇雲に事業を拡大させると、投資資金が足りず新興国での経営そのものを継続することが困難になり、せっかくニーズを獲得し始めていても撤退せざるを得ない、という状況になりかねません。

ポートフォリオマネジメントにおいて重要なことは、以下のような対策を行い、投資資金が垂れ流しになってしまう状況を避けるということです。
・目先のリターンをいかにして獲得するかということだけでなく、継続的に投資した際に、いかにして大きな市場を獲得できるようにするかを考える
・どれくらいの期間にどの程度の投資を行うか、といった投資計画を考える、投資の時間経過に対するリターンのルールを策定する、といったリスクマネジメントを行う
・自社の資産を運用するか、他から資金を募って利用するかのバランスをとる

C)全体を見通したガバナンス
新興国で現地の人々を雇って事業を展開していく際、自社特有のプロセスを活かした方が良い面と、現地の方法に即した方が良い場合の両パターンが考えられます。さらに事業拡大する場合は、マネジメントすべき国も多数に渡る場合もあり、多様なエリアを一度に管理していく必要があります。国によって働くことに対する考え方、姿勢も様々です。こうした複雑なマネジメントを適切に行うためには、各市場での成果をはっきりと可視化するKPI(重要業績評価指標)を設けることが重要となります。画一的な評価基準を設けることで、事業の良し悪しを正確に判断していくことができます。KPIの結果に合わせて、今後の投資の分配や事業の力の注ぎ方も変えていくことになります。

また、ローカルな現場での不測の事態に備えるためには、
・現地の人が意思決定をできるような仕組み
・リスクを可視化する仕組み
の2つが重要です。これらが揃えば、想定外の事態が発生した際に現場だけで判断しやすく、その後にフォローアップとして本社と相談するのもスムーズになります。現場が意思決定できる仕組みを作るためには、「権限の所在の明確化」「P/L、B/Sの責任の持ち方」「業務プロセスの共通化」などいくつも検討すべき点があります。

戦略モデルの組み立て方

新興国市場で成功するためには戦略モデルが重要であることは、これまでの章でご紹介してきました。戦略モデルは日系企業のみで考えるのは困難な場合が多く、コンサルティングファームが特に活躍する部分でもあります。

戦略モデルは、以下のようなプロセスで組み立てていくことになります。

ベースの戦略策定
〇事業のゴールとシナリオ設定
基本的な戦略を立てる際に重要となるのは、企業の目標を明らかにすることです。「どの国・地域で」「何の業界や事業領域において」「どれくらいのシェアを」
という3つの点を特に最初に定めておく必要があります。売上が伸びていてもシェアが増えていない場合、その事業が大きく成長することはありません。目先のリターンではなく、最終的なゴールラインを設定することができれば、そこに向けた戦略、分析も可能になってきます。

〇自社商品・サービスの価値創出
市場の動向を調査し、ターゲットとする層をどこに設けるのか(富裕層、中間層のどちらをするか)を考えます。自社の強みとはどこにあるのかを洗い出し、それをどのような形で提供できるかという点を探っていきます。他社もシェア獲得に力を注いでいる中、既存の商品・サービスと差別化できるポイントがあるかどうかが重要な点になってきます。特に、向こう10年の消費者の生活水準の変化を読み取り、そこを見据えて価値を考えて行くことが、長期的なシェアの拡大に繋がります。

バリューチェーンの構築
バリューチェーンとは、「事業内容を機能に分けて分類し、どの部分で付加価値が生じているかを調べ、事業戦略の良し悪しや改善点について検討すること」です。他社との競合下においてシェアを獲得するには、このバリューチェーンが非常に重要であり、
「自社の強み、付加価値をどのような形で生み出していくのか」
「競争において他社に対する優位性をどこで持たせるのか」
といったことが正確に構築されている必要があります。せっかくの自社の強みを、シェアの拡大や事業の拡大といったプランに繋げるためにも、価値が創出されているもっとも根底にある要素に着目し、よりよい提供方法を検討していくことが大事になってきます。

4. まとめ

ここまで日系企業の新興国進出に関してご紹介してきました。これからの時代、急速に成長する新興国の市場を獲得することは、企業にとっても非常に大きな成長のチャンスといえます。
とはいえ、新興国市場と一言で言ってもその意味する範囲は非常に広く、狙う国・領域によって戦略は大きく異なってきます。そのためには、進出しようとしている新興国市場の分析と、適切な戦略モデルの作成が必要となります。
企業をサポートすべく、各コンサルティングファームでは様々な取り組みが行われています。企業の取り組み内容や、新興国市場に関する情報がさらに知りたい方は、以下のHPもご覧ください。

<新興国進出支援の取り組み内容>
新興国展開戦略支援 | PwC Japanグループ

コンサルティングファームで日系企業の新興国進出に携われば、企業内部の分析から始まり、新興国市場の調査、企業のアセットを基盤とした戦略策定から長期的なガバナンスに至るまで、幅広い領域でグローバルな経験を積むことができるでしょう。
より詳しい内容をご所望の方は、以下の参考文献をぜひご覧ください。

<参考文献>
内田和成|2016|BCG経営コンセプト 市場創造編 東洋経済新報社

また、本特集に興味を持ち、コンサルティングファームの転職を考えられた方は、ぜひ弊社エージェントに転職のお手伝いをさせて頂ければ幸いです。
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