特集|KPMG FAS スペシャルインタビュー


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本日は株式会社KPMG FASのディレクター小野 砂知子様、シニアマネージャー内田 聖子様にインタビューの機会を設けていただきました。KPMG FASの組織、プロジェクト概要、今後の構想、求める人材像などについてお話しいただきました。

.ご経歴について

ELお二人の職務経歴について御紹介いただけますか?

内田様
KPMG FASに入社する前は、総研系のコンサルティングファームでコンサルティング業務をしておりました。業務内容は新規事業の立ち上げや、事業計画の立案、マーケティング戦略の立案など、M&Aとは異なる領域の業務をしていましたが、M&Aを主軸にしたいという思いから、2009年にKPMG FASに入社し、現在はグローバルストラテジーグループに所属しています。

入社以降、主にM&A戦略の中でも、プレディールとインディールを中心に従事しております。プレディールの場合、参入する領域・参入アプローチの検討対象企業の選定等が基本的な業務で、インディールの場合はデューデリジェンス、および事業計画蓋然性評価を中心に行っております。

小野様
私もグローバルストラテジーグループに所属しており、デリバリーというよりはセールス寄りの業務をしております。新規の顧客獲得や、課題に対してどういう形でアライアンス戦略を立てるか、等のディール初期のディールシェイプの提案を行うミッションを担っております。前職は、外資系コンサルティングファームのデジタル部門でさまざまな大企業のデジタルトランスフォーメーションや、イノベーション創出を支援する業務をしており、エグゼクティブの方との対話から、何をしていくべきかを個別の案件として落としていく役割を3年ほど担っておりました。その前は、独立系のブティックファームで5年ほど、M&AのFAやデューデリジェンスを行っていました。

 

Ⅱ.組織について

EL:グローバルストラテジーグループの特徴を教えていただけますか?

内田様:
グローバルストラテジーグループはプレディールとインディールにフォーカスした業務提供を行っています。その他に、ディールで関係を構築したお客様から、中期経営計画の立案や新規事業計画策定のサポートなど、派生する業務を請け負うこともあります。

 

EL:プレディールとインディールのサービスについて教えていただけますか?

内田様:
プレディールの場合、お客様が海外で事業参入・展開する際に、お客様が手掛けている事業をバリューチェーンの中のどの領域に参入していくべきか、参入後どのように事業展開していくべきか等を検討します。また、参入にあたり一緒に組むプレイヤーの選定や、どういった参入オプションがあるのか組み方を検討していくのがプレディールのメインの業務になります。

一方、インディールでは対象会社が決まっており、対象会社に対する買収あるいは出資というような形の中で、対象企業の事業性、あるいは対象企業が作成する事業計画の蓋然性を検証するのが主な業務になります。

 

EL:海外にクライアントが進出するときの参入オプションは、どのようなものがあるのでしょうか?

内田様
例えば、プレディールの段階では必ずしも買収になるとは限らず、自前で参入されるお客様もいらっしゃいます。そういった中で、お客様がどういう機能やリソースを求めてプレイヤーと一緒にやっていくのかを、自分たちの持っているリソース・機能と、相手が持っているリソース・機能を両方考慮した上で、ベストな組み方を検討していきます。

 

 ELM&A以外の業務についてもお伺いできますか?

内田様
例えばM&Aの戦略に落ちる前の事業戦略や、全社戦略、中期経営計画の策定などの支援、今の買収案件以外の新たな領域での参入検討なども行っています。また、新規事業を立ち上げていく上で、マーケットとしてオポチュニティがあるのか、或いは、お客様のケイパビリティがどこにあるのかを検討し、どういった領域で新規事業を立ち上げる可能性があるか等の検討も行っています。

 

EL:御社の特徴・強みを教えていただけますか?

内田様:
ワンストップでサービスを提供できることが強みの1つです。ディールにおいてはFA業務もデューデリジェンスのサービスも提供でき、さらに買収後のPMIも提供可能なため、プレからポストまでのサービスを一気通貫で行えるのが強みだと思っております。

 

EL:戦略を練られた中のオプションとして、M&Aを選択される企業は多いのでしょうか?

内田様:
基本的にはM&Aと決め付けて検討はしておりませんが、自社で持っているリソース機能がないところに参入していく場合、新たにゼロベースで進めるには時間もお金も掛かります。数年後に達成すべき売上目標を考慮した場合、時間軸と達成すべきゴールとの見合いで買収により時間の短縮を図る選択をされるお客様は多いです。

 

EL:小野様は前職ではデジタル領域のセールスに携わられていらっしゃったとのことですが、現在は、どういったアプローチで提案をされていらっしゃいますか?

小野様:
企業の経営者の経営課題に対して、M&Aを実施するかデジタル技術を導入するかは手段の違いなので、行っている活動の質は同じです。経営者から課題を伺ったときにデジタル化の課題が来たときには、デジタル技術を活用して事業をグロースする提案を進めることも出来ますし、時間を掛けずにストラテジック・グロースを望まれる場合は、コーポレートファイナンス部門と連携してどのような企業を買収するかという会話から始めます。

弊社では、業界を超えたアライアンスの提案や、JV設立、CVC設立の支援もできるため、私としてはお客様に対してのソリューションが増えたという感覚で営業しております。

 

EL:お客様が希望される場合はデジタルトランスフォーメーションなどの提案もされているのでしょうか?

内田様
そうですね。お客様からその切り口での要望がある場合には、インターナルのエキスパートを巻き込みながら提案していくこともあります。ストラテジーグループではビジネスのバリューチェーンを整理して、全体を俯瞰した上で次の提案を行うことを得意としているため、その時点で足りないものはKPMG内部で連携して提案をします。デジタルであれば、KPMGコンサルティングのデジタルのメンバーと連携することもあります。

また、SDGsやESG経営などのサステナビリティの場面では、KPMG FASだけでなく、グループ会社のケイパビリティを持ったスペシャリストと一緒になってKPMGグループとして提供することが出来ます。

 

EL:他の監査法人のグループだと縄張り争い的に業務の垣根があるとお聞きしたことがあります。

小野様
会社のカルチャーとして、情報を隠すことや、自分で情報を囲って人に出さないということはありません。逆に、他の部門に来たセールスのオポチュニティがストラテジーグループに来たりすることも結構あります。

内田様:
情報を囲わず、むしろそれをオープンにすることで、KPMGの提供できるサービス領域を広げて、お客様に対しての視野を上げていくようなイメージで動いています。

小野様:
プレディールからPMIまでを一気通貫でサービスするという意識が社内で強いので、皆、協力的です。次のフェーズに送るとか、前のフェーズのオポチュニティだとサジェスチョンするなど、社内ではメールが飛び交います。

内田様
そのため、ストラテジーグループにいても、プレの段階ではコーポレートファイナンスのチームと協働で業務をすることが多いですし、インディールではトランザクションサービスなど、他のラインのチームと協働することもあります。また、ポストディールであれば、PMIチームとの協働もあり、基本的に、他のラインと協働しいくというスタンスでやっています。

 

EL:仕事ではどのような企業とコンペになることが多いですか。

小野様:
先日はマッキンゼー、ローランドベルガー、BCG、アクセンチュアとコンペになりました。

内田様
コンペ先となるのはいわゆる戦略ファームと呼ばれるところか、ビック4が多いと思います。

 

EL:戦略コンサルファームとの業務領域の違いはどんなところですか?

内田様:
戦略案件も行っていますので、そう言った意味でのサービス領域は重なりますが、弊社の主軸はM&Aにおいています。M&Aの中にこそ強みがあるので、ポジショニングは違うかと思います。

 

Ⅲ.プロジェクト事例について

EL:プロジェクトの事例についてお聞かせ下さい。

内田様:
M&Aに関しては、In-outの案件(日本企業が海外企業を買収するM&A)がほとんどを占めます。クロスボーダーの案件では仕事を進める際、日本チーム単独ではなく、日本チームと海外チームとが協働でお客様の支援をすることが前提になります。
例えば、アメリカの特定業界に参入したい日本企業がクライアントであれば、現地のローカルな現状についてはアメリカチームのほうが良く理解しているため、その点はアメリカチームの力を借ります。日本チームはお客様とのフロントに立ち、サポートを行うほか、お客様のニーズを把握し、プロジェクトを進めていく中で我々のアウトプットとお客様の期待値とのズレが生じないように調整します。

In-in(日本企業同士のM&A)の案件は割合として少なく、このようなクロスボーダーの案件をグローバルチームで支援することがほとんどです。

 

EL:M&A戦略というと事業性評価が浮かびますが、実際にはどういったことをされていますか?

内田様:
事業環境を評価する軸の1つはマーケットの魅力度です。成長性と収益性の視点から魅力度を考えます。2つ目は競争環境です。市場が成長していて儲かりそうな領域でも、競争密度が非常に高く、マーケットの伸びに合わせて参入プレイヤーも増えて、競争過多が見込まれる場合、マーケットとしての魅力は慎重に考慮しなければならないでしょう。事業性を評価する時には、対象会社の持っているリソース機能や過去の実績等に基づく競争優位性を踏まえた上で、将来的にお客様が計画している事業計画の蓋然性を評価していきます。

 

EL:事業性評価の他にはどのようなサービスを提供されているのでしょうか?

内田様:
プレディールの段階においては、対象企業の選定から始めることもしています。まずは、事業戦略に沿って、ターゲットとするべき企業の要件を抽出するところから始まり、その要件に合う企業をスクリーニングしていくという流れになります。いわゆるロングリスト/ショートリストの作成です。

 

EL:どのようにリストを作成するのですか?

内田様:
ロングリストの段階では基本的に会社概要、業績、事業内容をメインに多くの企業を挙げていきます。そこから絞り込みをしてショートリストを作成しますが、お客様が参入したい事業に必要なリソースの中で、自分たちが持っていないものを対象企業が持っているかということが要件になります。その関係性を踏まえながら、あるべきリソースに対して足りないリソースのギャップを把握し、それを要件として絞り込むという流れになります。

 

EL:具体的な例を挙げて頂けますか?

内田様:
日本の製造業が海外に進出する場合、製造拠点は既に持っているけれど、バリューチェーン上でもっと川下に攻めて行きたいといった場合を例として挙げると、その業界で販路を持っているプレイヤーを買収することも有効な手段です。そういった形で自分たちに足りないものを獲得していくことは多く行われています。製造拠点などが全くないのであれば、製造から販売までのすべてを持っているところを買うという可能性もあります。

 

EL:M&A以外の支援の例ではどういったものがあるのか教えていただけますか?

内田様:
新規事業の立ち上げなどもご支援しています。新規事業の場合、お客様がどういった将来像を描いているかという点は必ず確認します。例えば「5年後に売上高は何億円、利益は何億円にしたい」といった具体的な数値があれば、その姿に到達するために何をしていくべきかが考えられます。

5年後にありたい姿に向け、今までの事業領域以外でアドオンできる新しい領域は何かを模索する、ということをお客様と一緒に考えていきます。

既存事業の周辺事業から新規事業を考え始める企業もあれば、そうではなく全く飛び地の新しい領域で新たな収益の柱を立ち上げたいという企業もあり、様々な考え方がありますが、全くの新規事業立ち上げとなると、宝探しのような案件になる可能性もあります。

そのようなときには最初にやりたいことを理解した上で、今やらないことも定義しておきます。我々の中では【OB杭】と呼んでいますが、ここから以上はやりませんよという線引きをしておくのです。その線引きの中でどういった新規事業が考えられるかを検討します。検討していく目線は事業環境評価の目線と同じく、成長性、収益性、競争環境をメインにマーケットを絞り込んでいく流れになります。

 

Ⅳ.ストラテジーグループの今後の構想について

EL:ストラテジーグループの今後の方向性を教えて下さい。

内田様:
今後の方向性としましては、現在はディールの中でもプレやインディールの領域がメインとなっておりますが、今後はもう少しPMIの領域を強化していきたいと考えています。

 

EL:PMIの領域で行うストラテジーグループの仕事はどういったものでしょうか。

内田様:
PMI専門チームもありますが、ストラテジーグループがPMIの領域に関与する強みというのは、デューデリジェンスのタイミングで、PMI目線で見た論点をあらかじめ洗い出すことができる点です。組織やシステムの統合上のイシューをあらかじめデューデリジェンスの中で洗い出しておくことで、PMIのフェーズでもそれらを引き継いで対応することができます。

 

EL:プレから見ているメンバーがPMIを行うことで、M&Aを行う前に思い描いていたゴールに近づきやすいということでしょうか。

内田様:
成果につながりやすいことに加え、リスクを最小化できるということもあると思います。

 

EL:また、貴社は、インダストリー別のチームがあるとうかがっておりますが?

小野様:
インダストリーは12のチームが存在していて、その中で私は特に化学業界を担当しています。アカウントは日本の大手企業に加えてグローバルでいくつかターゲットがあり、アカウント専属のチームを作って活動しています。メンバーとして必要になるのは、その業界特有の知識をきちんと身に着けていくことと、お客様に通い続けてオポチュニティを見つけてくることで、そういった活動を今後強化しようとしております。現在は好景気なので案件はたくさん入ってきますが、やはり長い期間をかけて信頼関係を築くことが大切だと思います。

 

EL:セールスを担当される方はストラテジーグループの中にいらっしゃるのでしょうか?

小野様:
私はセールスも担当していますがレアなケースです。案件はクライアントが業界を指定して買収対象のリストを作成するという流れではなく、もやっとしたクライアントからの相談事項から事業戦略策定等のオポチュニティが発生することが多いです。事業戦略の手段としてM&Aがあるため、結果としてストラテジーグループがセールスを行うという形になっています。
また、私は化学業界だけでなく、過去の繋がりから他のインダストリーのお客様からの相談もあるので、該当するインダストリーのリーダーと相談をしながら一緒にセールス活動をすることも多いです。

 

Ⅴ.求める人物像について

EL:どういった方に応募していただきたいですか?

内田様:
ストラテジーグループとして持っておいていただきたい素養は、3つあります。1つ目は、バリューチェーンをプレからインディールまで中心にやっていましたが、今後はPMIのほうも強化するので、業務としてのバリューチェーンの幅を広げたいという志のある方。2つ目は、ストラテジーグループということで、お客様のニーズや課題に対して自ら考えてプロアクティブに動ける方。3つ目は自分自身の自己実現もさることながら、組織への貢献が出来る人。そういった素養を持った方に応募いただけると嬉しいですね。

 

EL:コンサル業界での経験は必要でしょうか?

内田様:
基本的には経験者に限らず、未経験の方も採用しています。先ほど3つ挙げさせていただいた素養はマインドセットの部分ですが、具体的な採用面接時には、もう少しスキルセットの部分も見させていただきます。スキルセットの中で見ているのは、「論理的な思考が出来ること」と、「仮説思考が出来ること」の2つです。ストラテジーの業務は全てのファクトを積み上げて物事を言うことはまず有り得ません。ファクトが揃わない中で、要素を組み合わせながら思考が出来る人でないと、ストラテジーの業務を円滑に行うことは出来ないでしょう。そういった2つの思考能力を持っていれば未経験者でも入っていただけると思っています。

特に事業会社等、コンサル未経験の方には、過去に課題解決された案件をお聞きします。採用面接の中で簡単なケースを提示させていただき、その中で基本的な考え方と論理的に考えられるかどうかを確認させていただいています。

 

EL:コンサル経験者で言うと例えばIT系コンサルタントの方も対象となりますでしょうか。

内田様:
もちろん可能性はあると思います。自分の持っているコアなスキルや、ケイパビリティをベースにバリューチェーンを広げていきたいというスタンスの方であれば、全く問題はありません。

 

EL:職位にもよると思いますが、例えばマネージャー未満の採用といった場合に年齢の制限などはありますでしょうか?

内田様:
特に年齢制限は設けていません。意欲があれば是非応募して下さい。若くてもケイパビリティとやる気のある方だったら採用されますし、経験があってもプロアクティブじゃない方だと難しい部分があるかと思います。

 

Ⅵ.求職者へのひと言

EL:最後に応募を検討されていらっしゃる方にひと言お願いします。

小野様:
弊社は長期目線で人を育てようという意識の強い方が多いので、焦らずじっくり取り組めるという意味では、成長意欲の高い方には良いファームだと思います。また、信頼できる関係性を大事にしていますので、そのような価値観をお持ちの方に応募いただけたらと思います。

内田様:
自分がどういうことをやりたいかということを明確に持っていて、仕事は与えられるものではなく自分で取りに行くものだという意識があり、プロアクティブに臨めるような方と一緒に仕事したいと考えています。例えば今まで事業会社で、与えられた業務には満足せず、もっと何かしたいという考えを持っている方には是非応募いただけたらと思います。

 

 

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