特集|株式会社 KPMG FAS Integration and Separation (PMI)インタビュー

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本日は、KPMG FAS パートナーの中尾 哲也 様にインタビューの機会を設けて頂きました。


KPMG FAS、Integration and Separation(PMI部門)が提供するサービスの特徴や、組織の特徴、およびプロジェクト概要、求める人材像などについてお話し頂きました。 

Ⅰ,ご経歴について

Q:これまでのご経歴についてお伺いさせて下さい。

私は新卒で事業会社に入社後、現業部門を経てグループ会社の経営管理等を経験しました。その後、KPMGに転職をしましたが、入社して約半年後にKPMG FASを設立することになりました。その設立と同時に転籍し、現在に至っています。

FASでは当初、事業再生やM&Aの支援を中心に担当しておりました。2009年にKPMGのグローバルでIntegration and Separation (PMI部門)が立ち上がり、その時に日本のこの部門のリーダーに就任しました。それ以降はPMI中心に仕事をしております。 

Ⅱ,Integration and Separation(PMI部門)の組織について

Q:Integration and Separationではどのようなサービスを提供しているのですか。

PMIを成功させるために、プレディールから一気通貫でクライアントのM&Aを支援しています。よくPMIは難しいと言われますが、その大きな原因はM&Aの準備段階にあると考えています。

具体的に、プレディールの段階でどういったことをしているのかというと
【①戦略、②ガバナンス、③経営基盤】という3つの領域にフォーカスしてサービスを提供しています。

Q:プレディールでの支援(戦略、ガバナンス、経営基盤)とは具体的にどのようなものですか。

まず「M&Aを活かしてどのように競争に勝っていくか」という戦略を立てます。

次に「M&Aを実行した後に、誰にどういう責任を持たせ、どのように経営していくか」という戦略実行の為の仕組みづくりをします。それをガバナンスとここでは呼んでいます。

最後の経営基盤ですが、ガバナンスを効かせる為には権限などの仕組みと、それを支えるIT等が必要になりますので、そこをどう整えていくかということについてアドバイスしています。

この3つ【戦略・ガバナンス・経営基盤】がうまく整合していないとPMI、引いてはM&A自体は成功しないというのが我々の基本的な考え方なので、こうした領域に特に力を入れています。

EL:私が認識しているPMIのイメージと異なりました。

よくPMIと聞くと「買収後のサービス」で、プロジェクトマネジメントをしているというイメージを持たれることが多いのですが、私たちがやっていることは異なっています。

M&Aの早い段階から案件に関わり、買手企業(クライアント)のことや買収先の企業のことを深く理解した上で、統合の障害になる事項や、統合することで得られるメリットなどを明らかにすることで、M&Aの成功確率を高めるというアプローチとっています。

Q:御社にはストラテジーグループが別にあると思いますが、戦略を立てるという部分の役割分担はどのようにされているのでしょうか

PMI部門とストラテジーグループは密に協働しています。

Q:Integration and Separationの組織風土について教えてください。

これは私たちの部門だけでなく、KPMG FAS全体の特徴とも言えますが「人を育てる」ということに強く拘っています。

我々のビジネスでは、人を上手く育てることが出来ればサービス品質が向上し、業績が良くなります。業績がよくなれば従業員にそれを還元でき、優秀な方がKPMG FASに留まってくれます。

そうすると優秀な方が次の新しい人を育ててくれる…というように、良いサイクルになっていきますが、それこそが我々のビジネスの根幹だということを、KPMG FAS設立以来トップがずっと言い続けています。

EL:素晴らしいですね。

はい。上位職者は「育てる」、若手は「育つ」ということを強く意識する、ということを大事にしています。

Ⅲ,プロジェクト内容について

Q:Integration and Separationのプロジェクトについて具体的に教えていただけますか。

まずお客様はM&Aをする会社(買手企業)で、日系の企業が多いです。一方で買収先は海外企業が多いです。

具体例として、日本の製造業がM&Aを活用して海外に進出をする際に①買収前のデューデリジェンス、②買収後の戦略立案、③シナジー施策のモニタリングというところまで一貫して支援させていただいたプロジェクトがあります。

より具体的にお話をしますと、デューデリジェンスでは、統合にあたってのITやオペレーション上の重要なポイント、リスクとオポチュニティ(シナジー等)を特定しました。その後、買収の戦略やストラクチャーを踏まえた上で、統合後の基本方針の作成支援をしました。また、シナジー施策を立案・検証し、実行計画の策定やモニタリング支援を行いました。

EL:ストラクチャーというのは?

ストラクチャーというのは株式取得や合併、事業譲受といったようにM&Aの目的を達成させるための方法です。

これを踏まえた上で、統合後の基本方針「何を統合して、何を統合しない」のかということを決めます。この方針が決まらないとその後の統合の作業が決まらないので、この方針をまずはしっかりと決めるということが非常に重要です。

統合後の基本方針の中には、具体的に「クロスセル」ですとか「共同購買」といったシナジー施策を折り込みます。そして、これを実行に移したときに「誰が責任者で目標となる数字は何なのか」ということを定義して、モニタリングの仕組みを構築します。
そういったところを一気通貫でご支援すると大体一年から一年半くらいになります。 

EL:M&Aを実行するにあたり、統合することのメリットは理解できますが、統合しないという選択をされるケースは具体的にどのようなことなのでしょうか。

例えば給与テーブルやポジションが挙げられます。給与テーブルは企業ごとに全く違いますし、ポジションも違います。

同じバイスプレジデントというタイトルでも、買収側と被買収側では役割・権限・待遇は全く違います。それを一度に無理やり統合してしまうと、人がやめてしまうかもしれない。だったら当面は統合しないということを選択した方が良いということが挙げられます。

ITシステムも同様です。ITシステムを統合するに越したことはないのですが「システムを入れ替えると5年/50億かかります」というように、膨大な期間やお金が必要になる場合があります。

それではシナジー効果全てを食い潰してしまうということにもなりかねないので、そういった場合は費用対効果に鑑みて、統合しない判断をするケースもあります。

Q:PMIの仕事で苦労したことがあれば教えていただけますか。

苦労であり、やりがいでもありますが、PMIの支援が通常のコンサルティングと大きく異なるのは、買収先の企業ともバランスをとりながら仕事を進めていくところだと思います。

通常のコンサルティングプロジェクトではクライアントとコンサルタントで物事を決めて進めていくことができます。

例えば、新たなシステムを導入しましょうという話であれば「予算はいくら」で「期間はいつまで」と決めて、クライアントの要望を聞きながら仕事を進めていくことができます。

この場合、意思決定のプロセスも分かりやすいので、仕事を進める上で見通しを比較的に立てやすいのですが、PMIでは買収先の企業を含めて仕事を進めていく必要があります。

先ほどお話をした統合基本方針についても買い手企業の一存だけでは決められず、買収先の企業の経営陣の合意を得ながら進めていく必要があります。

買収先の経営者が合意してパフォーマンスを挙げてくれなければM&Aは失敗に終わってしまいます。たとえば、買収先の経営者にどこまで決裁権を持たせるのかという議論があります。経営の自由度を著しく狭めてしまうと、経営を続けるモチベーションを失いかねません。経営陣の多くが退社してしまうと、想定していた買収後の経営が成り立たなくなる場合があります。

クライアントと買収先の企業の両方を調整しながら案件を進めなければならないという点において、プロジェクトは飛躍的に複雑かつダイナミックになります。より人間力が要求され、タフな反面、結果を出した時の喜びも大きいですね。

EL:買う側の意向をくみながら、買われる側の要望も調整していかなければいけないと。

そういうことですね。特に買収先の経営者が優秀な方の場合は、その人が辞めてしまうと会社の価値も下がってしまうので、利害関係の調整には神経を使います。

EL:後からお互いに「こんな筈ではなかった」とならないように詳細に決め事をしておく必要がありますね。

そうですね、ただ難しいのが、最初からあまり細かい話をしすぎると、途中で案件が成立しなくなることもあるので。

M&Aは結婚によく例えられますが、結婚したら自分が財布を握るから、十万円以上の支出は了承を得てから…などと最初から言ったら相手は逃げてしまいますよね。

それと同じで、信頼関係を徐々に築く中で色々と決めていかなければいけないので、教科書どおりにいかない部分が沢山ありまして、いわゆるメソドロジーありきではないというところが面白さだと思います。

Ⅳ, KPMG FASの魅力について

EL:KPMG FASで働くことの魅力についてお話いただけますか。

KPMG FASは数多くのM&A案件を手掛けているので、様々な案件に関わることができます。ちなみに、2017年のトムソン・ロイターによるM&Aアドバイザーラインキング(公表案件数ベース)ではKPMGがグローバルで1位、日本で5位でした。

また、あずさ監査法人、KPMG税理士法人やKPMGコンサルティングのメンバーと一緒に働く機会はもちろんのこと、海外のKPMGオフィスと一緒に働く機会が多いことが特徴として挙げられます。先ほども、最近終了したプロジェクトで一緒に仕事をしていたアメリカのパートナーから「クライアント(アメリカ)から非常に良いフィードバックをもった。ありがとう!」というメールが届いていましたが、こういったことがしばしばあります。

海外のKPMGオフィスへの出向や海外研修への参加にも積極的に取り組んでいることも特徴です。

EL:海外研修とはどのようなものがあるのですか。

毎年数名程度を海外の語学学校やビジネススクールに3ヶ月間ほど派遣しています。海外で得た経験を戻ってきたときに仕事に役立ててほしいということです。また、海外での各種会議/トレーニングなどにも積極的に参加していますし、Globalが提供している英語によるE-Learningによる研修コンテンツも充実しています。あとは海外研修ではないですが、語学学校の研修補助も制度化しています。KPMG FASとして、「海外で活躍できる人材を育成する」という方針は特徴的だと思います。

EL:今後の事業展開について教えてください。

M&AにおけるPMIの重要性については広く認識されるようになってきています。PMIで苦労したくないからこそ、プレディールの段階で準備をしっかりとしておきたいというお客様が増えてきており、そうしたニーズに応えるためにディールとコンサルティングの両方を手掛けることができるプロフェッショナルをもっと増やしていきたいと考えております。

Ⅴ,候補者の方へのメッセージ

EL:応募を検討されている求職者の方に一言お願いします。

M&Aは経営の一手段ではありますが、その取り組み方次第では業界のポジションを変えられる、いわゆるゲームチェンジができる極めて影響の大きな施策です。

先ほどもお話をしましたが、KPMGはトムソン・ロイターによるM&Aアドバイザーランキング(公表案件数ベース)にて、グローバルで1位、日本で5位と豊富な実績があり、M&Aに関する知見の宝庫だと思っています。そういった環境を活かして自身のスキルアップをしていきたいと考えている方には良い環境だと思いますので、是非ご応募いただきたいと思います。

KPMGインタビュー(ロゴ2名正面)

プロフィール

Partner  中尾 哲也 様(Tetsuya Nakao)

2001年の株式会社KPMG FAS設立当初から、M&Aや事業再生等のトランザクションにかかわるアドバイザリーサービスに従事。2009年以降はKPMGの Integration and Separation Advisory(事業統合・分離にかかるアドバイザリー)部門の日本における責任者として、M&A後の業務の統合に係る支援、事業の分離に係る支援、シナジー施策の立案・実行支援、M&A後のガバナンス・組織体制構築支援、海外子会社の再編支援等のサービスを手掛けている。倒産実務家日本協会会員。

インタビュアー:エグゼクティブリンク 石坂

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