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Column特集記事

足もとの日本のフリーランス市場の動向

Post Date2020-03-19

近年、多様な働きかたが国内でも広がる中で、選択肢として「フリーランス」を選ばれる方も増えてきました。
その一方で、フリーランスの方々がどれほどいて、どのように案件を獲得するのか、どのような案件があるかは自身でサーチしない限り、一般的にはあまり知られておりません。

この記事では、まず日本のフリーランス市場が足もとどのような状況か、全般概観とエンジニア/コンサルタントに分けて考察していきたいと思います。

  1. フリーランス市場の概観
  2. フリーランスエンジニア市場
  3. フリーランスコンサルタント市場
  4. 案件の特徴
  5. フリーランス市場全体の課題
  6. (参考)米国との比較
  7. まとめ

フリーランス市場の概観

フリーランスの人数規模に関しては、その定義付けやアンケートの母集団などによって試算が大きく異なります。これは、「フリーランス」という働き方に対して明確な定義づけがされていないことに起因しております。

以下は内閣府が行った、リクルートワークス研究所とランサーズ株式会社の調査をまとめた図表です。440万人と1090万人というように大きな開きがあることがわかります。


(出所:内閣府政策統括官(経済財政分析担当)『政策課題分析シリ-ズ 17 日本のフリーランスについて』)

 

また、厚生労働省の有識者会議「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」において、以下の図の通り試算がされ、本業として自身で事業を営んでいる人のうち、発注者からの委託を受けて仕事をしている人は約169万人とのことです。


(出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構『雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等(速報)』)

フリーランスエンジニア市場

人数

上記のようにフリーランスの人口規模を正確に把握することは困難なため、フリーランスエンジニアが何人ほどなのかも正確な数値を出すことは出来ませんが、内閣府の試算を基にした推計では情報通信業に従事するフリーランスの方の人数は21万人ほどと考えられています。


(出所:東京新聞)

 

近年の動向

近年はシステムエンジニアの需要が高まっており、伴ってフリーランスエンジニア市場も活況となっています。
システムエンジニア需要の高まりは以下の要因があると考えられています。

IT人材の減少

経済産業省の調査によると、2019年をピークにIT関連産業への入職者が退職者を下回り産業人口が減少していくと考えられています。一般事業会社ではIT人材の確保が難しくなり、外部人材としてフリーランスエンジニアを参画させることも増えてきています。


(出所:経済産業省『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果』)

 

ITニーズの高まり

AI/ビッグデータ/IoT/ロボティクスの発展でシステム開発ができる人材の需要が高まっています。中位シナリオの場合でも2030年には2015年の1.3倍以上に需要が高まると考えられており、人口減少と合わせると59万人の人材不足が見込まれています。


(出所:経済産業省『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果』)

フリーランスコンサルタント市場

 人数

フリーランスコンサルタントの人数規模に関しては情報が少なく、試算は困難ですが、戦略は限定的、そしてPMOやマネジメントクラスで案件に入ることが多いことより、システムエンジニアの半分以下ではないかと考えられます。

 近年の動向

こちらもシステムエンジニアと同様に活況と言えます。
理由としてはコンサルティング業界全体として需要が伸びているためです。ITコンサルタントは上記のシステムエンジニア市場と同様の理由で需要が高まっています。
また、デジタルトランスフォーメーションや新規事業創発といった需要が広がっており、戦略コンサルティングファームでの戦略/企画経験や、実際に事業立ち上げの経験がある専門人材を求めているということも理由として挙げられます。

案件の特徴

フリーランスのエンジニア及びコンサルタントの案件は大きく以下の3つに分類されます。


(出所:フリーランス協会『プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書2018』)

 

エンジニア

エンジニアの場合はタスク型とプロジェクト型が多くなっています。
タスク型の場合は案件仲介サイトなどを利用し、直請の案件が多くある一方、プロジェクト型の場合は直請もありますが、コンサルティングファームやシステムベンダーなどの下請けとして案件に参画する場合もあります。

コンサルタント

コンサルタントの場合はプロジェクト型とミッション型が多くなります。
また、直請の案件と比較すると、コンサルティングファームの下請けとして参画することが多いです。というのも、コンサルタントのプロジェクトはチーム単位で動くことが多いためです。ただ、上述のようにフリーコンサルタントの活用自体が拡大している中で、個人単位でニーズのある特定業務を受ける、稼働を調整して複数会社をサポートするフリーコンサルタントの方も増えております。結果、弊社のサービス含め、個人単位でフリーコンサルタントを企業に紹介する、マッチングするビジネスも広がりつつあります。

フリーランス市場全体の課題

フリーランス業界は拡大しつつあるとはいえ、いまだ課題が多くあります。
ここではそのいくつかを紹介したいと思います。

社会保障の未整備

フリーランスの方は企業に属している方に比べ、年金や社会保障などの福利厚生が手薄となっています。そのため、自己や病気などの万が一の事態が起こった場合収入がなくなるというリスクがあります。
フリーランスで働くことは一般の給与形態より高額の報酬が受けられる一方、その分を自ら管理し、資産運用や納税について考える必要があります。

フリーランスに対する社会的認識

まだフリーランスという働き方が社会に浸透しておらず、確かな技術や知識を持っていても、フリーランスと聞いただけで「安定していない」や「組織に不適合で会社にハマらなかったのだろう」といった見方をする方がいるのも事実です。

スキルアップ、キャリアアップの機会を自ら取りにいかねばならない

フリーランスとして仕事をすると、(会社/組織が提供する)キャリアアップは勿論なく、自身の幅を広げ、安定的に稼働し、更に単価を上げていくには自身で計画してスキルを磨く必要があります。正社員のように会社/組織が提供する研修や勉強会は受けられないため、実務上でのチャレンジや、自身で計画/アクションしてスキルと実績を積んでいく必要があります。

なお、「実務でチャレンジする」ことが大事である一方、フリーランスとして案件に参画するためにはそもそもニーズに合うスキルがあることが前提となっているため、ある特定のスキルや実績をつけたいと思っても、そのような案件に参画できないという場合が多々あります。そのため、今持つスキルを前提とした染み出し(ズラシ)で、チャレンジを重ねていく形になるでしょう。近年では、自身で機会を探せばどこでも何でも学ぶ環境は整っているとはいえ、より専門性の高いスキル/経験は実務を通しての方がつけやすいのが実情です。

オンライン化の進展の遅れ

近年、ようやく日本でも在宅勤務やリモートワークといった「テレワーク」の導入が進んでおり、また、裁量労働制という考え方も広がっている者の、未だ発展途上であることは否めません。
また業務受注/納品のチャネルという点でも、ランサーズが行った「フリーランス実態調査2019」の結果を見ると、アメリカと比べてオンライン化が大きく遅れていることが分かります。


(出所:ランサーズ『フリーランス実態調査2019』)

オンライン化が進んでいないということは、自由な働き方を望んでフリーランスになっても、結局クライアントサイトで常駐して仕事をすることとなり、会社員時代と働き方があまり変わらない形になるため、フリーランス側にとってはメリットが小さい形となります。

※もちろん、アメリカと違い日本のフリーランスは狭い範囲(主に23区内)に集中しており「直接会える範囲にいるのであればフレキシブルに会話/MTG出来る環境が良い」「カルチャー的に浸透していない分、どうしても時間面での管理上常駐して貰わざるを得ない」ということもオンライン化の遅れにつながっていると考えられるため、単純な比較はできないということもご理解ください。

(参考)米国との比較

最後に、参考として「フリーランス大国」とも呼ばれるアメリカのフリーランスの実態を見ていきたいと思います。

まず、人口規模からみていきます。


(出所:ランサーズ『フリーランス実態調査2019』)

このように、労働者人口の35%がフリーランスであると考えられています。
アメリカでフリーランスが多い理由として考えられることとして以下の要因が考えられます。

終身雇用の考え方がない

アメリカでは日本ほど終身雇用の考え方が強くありません。逆に言えば、「スキルさえあれば仕事がある」という文化でもあるため、フリーランスが多いと考えられます。また、こうした考え方からフリーランスに対する社会的受容もあると考えられます。

Webサービス先進国である

アメリカはGAFAやマイクロソフトなどWeb系のサービスが非常に発展しており、Webサービス系の案件が多いという特徴があります。加え、上述の通り受注/納品がオンラインで実施されることも拡大に寄与しております。案件が多いため、フリーランスも能力があれば案件を容易に獲得でき、稼ぐことが出来るため、フリーランスになりやすいと言えます。

英語圏である

共通語が英語であるということで、世界中の案件をこなすことができるというのもフリーランスが多い要因と考えられます。世界最大規模のクラウドソーシングサイト『Freelancer.com』には247か国、1000万人以上の登録者数がおり、世界中のエンジニアとクライアントが結びつけられています。

このように、日本と大きな環境の違いがあることがわかります。
逆に言えば、日本でもこうした環境が作ることができればよりフリーランスの方が働きやすい環境になるのかもしれません。

まとめ

ここまで、日本のフリーランス市場についてみてきました。
簡単に言えば、日本のフリーランス市場規模はまだまだ小さく、保障制度などの整備もあまり進んでいない一方で、その案件数は専門人材の需要拡大に伴って増加を続けております。
「人生100年時代」が叫ばれるようになり、従来の終身雇用ではなく、自身で多様なスキルを身につけ、多様な働きかた/人生について考える人材が増えていく中で、今後も市場は大きく拡大していくでしょう。

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