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企業インタビュー 詳細

Special Interview

KPMGコンサルティング|Strategy and Transformation-Financial Services インタビュー青木様

Post Date2022-01-25 /
Category戦略, 金融,

本日はKPMGコンサルティング合同会社(以下:KPMG)のStrategy and Transformation-Financial Servicesの取り組みについて、青木様にインタビューの機会を設けていただき、組織の特長や魅力、今後の方向性について、事例を含め詳しくお話しいただきました。

「自由度の高さ」というKPMGの魅力

EL

始めに青木様のご経歴を教えてください。

青木様

新卒で大手生命保険会社に入社し、4年間在籍しました。最初の2年間は福島県郡山市の支社で、保険外交員の方々の管理を行っていました。簡単に言うと保険外交員の方々が成績を上げられるような施策を考え・実行し、目標が達成したら旅行などを企画する業務です。後半の2年は本社部門に異動し、営業人事部という保険外交員の方々の成績・給与・人事の仕組みを規定から、オペレーションやシステムに落とす業務を経験しました。その後、外資戦略ファームに転職しまして、そこに結構長くいましたね。ジュニアからコンサルタントとしてのベースを叩き込まれながらマネジャーにもなり、戦略・オペレーションチームの拡大も経験しました。その後別の外資戦略ファームに転職し、そこには1年在籍し、元の戦略ファームに再入社した後、2016年5月にKPMGコンサルティングに参画しました。

EL

他ファームでのご経験を踏まえた上で、他社と比較した御社の特徴を教えていただいてもよろしいでしょうか。

青木様

私がKPMGに来た理由は、戦略チームを立ち上げるというステージだったからです。当時のリードパートナーから何もないところからやるので自由にやっていいということ言われました。自由にやるインフラとして、KPMGはグループ含め多様な企業やプロフェッショナルのネットワークがありそれを活用しながら案件の開拓とデリバリーができる。そういう自由度の高さと組織の壁の低さがいいと感じました。自由度は高くて勝手にやればいいよと言いつつ、顧客基盤や知識面でのサポートが整っている。IT・税務・M&A、もしくは海外進出するにはどうすればよいのかなど、クライアントからの様々な相談事に対する知見がグローバルネットワークの強いKPMGには多くあり、それが魅力的でした。自由にチャレンジできて、活用できるインフラやリソースがあるのが最大の魅力です。今は金融チームにいますが、携わっている案件の中には金融とは全く違うものもたくさんあり、それはそれで許容されています。軸足としては金融もやらなければいけないのですけれども、自分の興味としてほかの案件もあるのなら、それはそれで許容されています。ある意味、その辺りの自由度が担保されており、その点が最大の特徴であり、私がKPMGに居続ける唯一無二の価値だと考えています。

EL

現在の主要なプロジェクトについてお話いただけますか?

青木様

金融の話からすると、今のStrategy and Transformationの形ができる前からずっと続いている大手銀行のプロジェクトがあります。うちのチームのマネジャー2人がずっと携わっております。銀行の新規ビジネスを立ち上げなければならない部門に対して、コンセプト企画、そのためのリサーチを実施し実現に向けての伴走支援を続けています。例えば、クライアントの提携パートナーとのミーティングに入って、要望を具現化し、新規事業として立ち上げて、それを事業部門に渡すまでのご支援です。このプロジェクトはずっと続いています。うちのチームの5人のマネジャーのうち、2人はその案件に従事しております。他の金融案件では、現在ディスカッション中のものとして、別の金融機関向けに中小企業の経営支援プラットホームを構築するというものがあります。中小企業を巻き込みながら、中小企業を底上げして世の中を良くしていきたいといった仕組み作りです。

金融クライアント以外ですと、あるB2Bのメーカークライアントに対して、コロナ禍で業績(売上)が急激に伸びた後、コロナが落ち着くのを見据えて成長戦略を立てるというプロジェクトがあります。また大手製造業の事業ポートフォリオ再構築のプロジェクトです。中期経営計画策定の前に、事業ポートフォリオを戦略的に考えつつ、事業を客観的な軸でマッピングして見直すというプロジェクトです。これにより事業の位置付けを決めた上で中期経営計画策定に入ります。中期経営計画の前段階として、単に事業を評価するというよりは、評価軸を何にするのか・定量定性なのか、定量なのであればそれはROIC(投下資本利益率)なのかEBITDA(利益水準を示す指標)なのかというところを含めて議論しました。評価するに当たっては、各事業サイドにこういうものを出してくださいというフォーマットを作り、記載されたものをレビューし、それを最終的には軸にマッピングしディスカッションをしました。現在議論が進んでいて始まりそうな案件としては、人材関連の会社の次世代ビジネスのプラットホームです。人材ビジネスというのは、人が仕事を探すタイミングでしかコンタクトがないですよね。結構、アドホックなので、就職や転職のタイミング以外も含めて、働く人の方達とコンタクトし続けるような仕組みを作って、生涯その人のキャリアに添え遂げるようなビジネス構想を描いています。チームにその分野に精通したマネジャーがいるので、UX視点を取り入れて議論を煮詰めています。

EL

御社で働く魅力を教えていただいてもよろしいでしょうか。

青木様

人によって違うと思いますが、私は自分のやりたいことを、制約なく自由にできるところですね。私にとってはそれが最大の魅力です。またジュニアの方に聞いたところだと、やりたいことに手を挙げれば比較的通りやすいというのがあるようです。共通して言えるのは、手を挙げる人に対しては比較的居心地の良い会社だと思います。私は他の総合ファームで働いたことがないのでわからない部分も多いのですが、KPMG内のほかのチーム、KPMG FAS・あずさ監査法人・税理士法人とかサスティナビリティ等、他のエンティティととても連携しやすいですね。例えば最近では、自身で詳しくない事柄に対して、グループ法人内の詳しい人に直接メールして教えていただきました。具体的には、サスティナビリティに関連して、トレーサビリティ実務は非常に零細な事業者がやっていることに対しても追わなければならないので、実態はどうなっているかを知りたかったんです。その手のサスティナビリティをやったことがある人を紹介してもらって話を聞いてみるなどのアクセスは結構柔軟にできますね。先程お話した製造業の事業ポートフォリオのプロジェクトでも、マッピングする軸を考える上で定量的なツールにROICを用いると難しい話になることがわかり、その分野に詳しい人が監査法人にいるので、一緒に入ってもらいました。クライアントの執行役員とのディスカッションにも週に2回入ってもらって、ずばずば言ってもらっています。その辺の連携は、あらかじめ準備されているわけではありませんが、ネットワークを自分で作って、コミュニケーションを積極的にしておけば、必要な専門家にコンタクトし、本当に専門知識も経験も資格もある方に話を聞けます。そこは、とてもいいですね。

KPMGコンサルティングはコンサルティング領域で見れば一番後発にあたります。でも、全体の顔が比較的見えてフレンドリーな会社だと思います。ジュニアの方も社長をはじめとしてパートナーとかとカジュアルに話をしていますよ。
KPMG全体で言うと縦割りの雰囲気がないというのはありつつも、自分がどれだけ動くかどうかも重要です。動くことに関しては自由だと思うので、それを自分がちゃんと意識して、積極的なアクションがとれるかどうかが重要です。誰に何を聞いたり助けを求めたりしても突き返すような人もほぼいません。元から連携を是とするベースはあると思います。でもそれを活かせるか活かせないかはその人次第です。社内に専門家がいるのに、じっとしている人もいますよ。メールや電話で聞いちゃえばいいのにと思いますね。その土俵をどう活かすかは個人次第です。受動的に与えられるものではなく、能動的に取りに行ってはじめて得られるもの、感じられる価値だと思います。

求める人材像と今後の方向性

EL

求める人物像をお聞かせいただけますか。

青木様

まず、能動的・積極的に動ける人。今回うちのStrategy and Transformationとしてはマネジャークラス以上が欲しいところあるのですが、まず一つジュニアランクで言うと能動性・積極性ある人に来ていただきたいです。ジュニアは失敗して当たり前なので、失敗しても何度もバッターボックスに立つかどうかです。ミーティングでじっと黙って参加しているだけの人というのは、延々にベンチにいるだけで打席に立てません。とりあえず思いつきでも浅はかでもいいから、クライアントやチームとの議論の中で、とりあえず自分なりに考えたことを発言する、という姿勢が大事。バッターボックスに立つかどうか、積極性と自分の考え・意思があるかどうかが大切ですね。それで1回砕かれたからといってめげないことも重要です。言われたことは、すぐ忘れればいいんです。言われたという行為自体は忘れて、指摘内容は覚える。そういうマインドの人・前向きでポジティブな人が成長すると思いますし、ぜひ来てほしいです。
マネジャーからシニアコンサルタントの後半では、やはり自分で自律的にリードして欲しいです。バッターボックスに立つだけではなくて、その試合自体をちゃんとリードしていくという意識を強く持っているか。いつまでも口を開けて作業を待っている人、こと細かに指示しないといけない人、できないと言ってやろうとしない人では難しいと考えています。

話が逸れるかもしれないですが、最近思うことがあります。リモートになって打ち合わせが非常に多いのですが、レビューをお願いしますと言われることが多いのです。私はレビューという言葉は大嫌いです。なぜなら、与えられたものをやってきたので正解かどうか見てくださいというのが、レビューです。それは、ジュニアメンバーからすると、何の思考もしていないんですよね。別に私たちも答えを持っているわけではないから、考えなきゃいけない。ジュニアが自分たちなりで調べたアウトプットを基に「こうだと思います」というのに対して、私たちは過去の経験から議論をしていくことによって一緒に仮説をつくりあげていきたいんです。私たちは過去の経験もあり、いろいろな範囲を見ているから、そこからロジックは作れるのだけれども、当然現在の案件ばかりにフォーカスしているわけじゃないから最新の情報まですべて追い切れていない。逆に、ジュニアはアサインされれば1週間なら1週間そこにフォーカスしているわけで、ある程度は専門家になれるので、その上で自分たちの意見をぶつけてもらいたい。それを掛け合わせることでいいものができると思います。けれども、そうならないケース・議論にならないことが多いです。仮説を立てて考えることができない。自分の頭で稚拙でもいいから考えようとする人・考えを組み立てようとする意志がある人がいいですね。言われたことをやればいいと思っている人は難しいと思います。

またそれでは、僕もインプットが増えません。他のファームも同じだと思いますが、それを痛切に感じますね。KPMGは他の総合ファームより仕事の範囲が広いので、レビューされるという姿勢でできる仕事はたくさんあると思います。でも僕らのチームはStrategyなので、それではまったく意味がないです。それだと戦略領域で仕事していくことは難しいと思います。そのため、マネジャー以上になったらジュニアの方たちに先述のような問いを立て・導ける人になってほしいし、そういう方に来て欲しい。最初は仮説といっても分からないかもしれないですけれども、トライし続ければ精度は上がってきます。トライすればするほど調べ方も効率的になりますし、コミュニケーションの仕方も効率的になります。レビューしてくれという人ほど、無駄な資料をたくさん作ってきますね。ぺたぺた貼ってありますが、要らないですよ。極端に言うと紙(資料)がなくても口頭で議論できるじゃないですか。そういうことを繰り返しやっていけば、仮説の精度は高まってきます。ただ、意識してやらなければできるようにはならない。意識しない人は打席に立つこともできず・空振りすらない。ボールを見送っているだけです。ボールすら見てないのかも。立たされていて、ボールがくるということは分かっているんだけれど、ボールも大して見ていないし、いつ打てばいいか言ってくださいって。次ストレートがくるから、真ん中来るから、そこで振れって言われるのを待っている。でも、それでも当たらないかもしれないですね(笑)。

EL

今後の方向性としてどのような組織にしていきたいかを教えていただけますか。

青木様

僕の個人的な想いとしては、クライアントの課題としてフィーを出されて提案するのであれば、戦略はいらないですね。例えば、クライアントからふわっとした、漠然とした相談をされ、とりあえず議論に行くんです。何を提案するかもわからない状態で行って、クライアントと議論して、クライアントの課題は何かを特定する。そういうチームになるべきだと僕は思っています。RFP(提案依頼書: Request for proposal)が来たら、戦略っぽいからStrategy and Transformation作ってというのでは、クライアントの課題感にどう答えるかに頭を使うことになるので、あまり価値がない。漠然とした・クライアント自身も明確な課題がよく理解できていない相談が来た時に、我々が行って話をして、課題の整理を行う。クライアントの課題が整理されて喜ばれれば、直接案件にならないかもしれないけれども、関係は強まるかもしれない。KPMGはこういう相談もできると思ってもらえればいいと考えています。ソリューションとか、提案メニューとかで勝負するチームではない。クライアントのところに、よく分からないけれど連れていかれてもちゃんと議論できて、クライアントの課題を特定できて、ある観点はここで提案しますといった形になるような。ゼロからイチを生み出すわけではないんですけど、ふわっとしたものからクライアントの頭も僕らの頭も一緒に整理していく中で、一緒に何か作っていく姿勢を見せる。そういう人たちがたくさんいると、想像力のあるチームになるのではないでしょうか。プロダクトアウトでは絶対ないと思います。

EL

最後に公募者の方々に一言お願いします。

青木様

迷ったら行こう!ですね。転職はしてもしなくてもオファーをもらった時点で、絶対どっちに行っても後悔するんですよ。転職した場合は、しんどい・来なければよかったというのは絶対にあるし、転職しなかった場合は、今の会社を当然転職しようと思っていたくらいだから嫌なことはたくさんあるから、あの時転職しておけばよかったと思う。あの時、実は転職できたんだといったことを慰めのように飲み会で言うようになる。どちらか後悔をするのなら、行って後悔した方がいいと思います。残っての後悔は何にも得るものはないと思います。そういう意味で、迷ったら行こう!です。

あとは、前職の経験は使えたに越したことはありませんが、どんなにご経験が素晴らしいものがあっても、コンサルに来られるのであれば一旦それは置いておいて(捨てるのではなく)、ゼロからやるつもりで入ってきてほしいです。そこで培った経験は必ず役に立つし、役に立つときが必ず来る、もしくは、それを軸に自分がどこかにコンサルとしての領域を作っていく土台にはなるので大事ではあるものの、それを最初から振りかざして入ってくるのは絶対うまくいきません。コンサルはコンサルの仕事のやり方がいっぱいあるので、そこを習得した上で過去のものと組み合わせると、とてもパワフルなコンサルタントになれます。なので、まず入る時は一旦捨てるんじゃなくて置いておく。一旦ゼロからもう一回やるつもりで入ってくるというのが大事です。無駄にはならないから、入るに当たって、そこは置いてきてねというメッセージですかね。そうすると多分入ってきての成功確率が変わるのではないでしょうか。

戦略コンサルだと20代半ばでマネジャーになる人もいるわけです。そういう人に30代の人が部下になることもあります。そういう会社に入ったんだから、それはしょうがないとして、その人から学ぶべきものは全部学んで、自分がその立場になったら、過去の経験も積み合わせてその人とは違う路線に行けばいい。それで、より強いものになる可能性は高まるのだから。そういう姿勢があれば大丈夫。MBA卒でコンサル経験なくて入ってきた人は非常に苦労する方が多かった気がします。当然エースだった方なので、経験も知識もプライドもあって。今はMBAからコンサルに来る人は減りましたけれども、結構苦労されるんですよね。それは、自分がやってきた実績とプライドが邪魔して、年下の上司や若い新卒の部下が理路整然と議論を仕掛けてくるのに対し、経験だけでは太刀打ちできないんです。そこが非常に大事だと思います。ですから面接ではコンサルタントとしてのベースとなるような素養があるかを見ています。経験値も大事なんですけど、どちらを重視するかというと、後者ですね。

僕はよくこの話しをするのですが、最初の戦略ファームからオファーをもらった時は、会社や仕事内容すらあまり知らない状況だったんです。オファーを貰えた理由がよくわからないので、面接頂いたパートナーに直接メールをして、何で受かったかわからないから会って聞かせてくれとお願いをしました。何で受かったか聞きに来たやつはお前が初めてだと言われましたけれど(笑)。君の大手生命保険会社での経験は面白いけれど、それが活きると思って選んだのではなく、要はコンサルとしてやっていける素養があるか見ていたから、そういう期待感しかないと言われました。その素養があると思ってオファー出したんだから、今の時点でそこは自信を持っていいよ。そこできちんと謙虚に頑張れさえすれば、多分やっていけるよ、と言われたので、ある意味ハードルが下がりましたね。自分がちゃんとやれば伸びることを見てくれたという安心感がありました。そんなものですよ。自分が何を期待されているかを確認した方がいいですね。カルチャーとしてのフィット感と、自分が何で採用されたかの納得感があれば、あとは本人の頑張り次第だと思います。

EL

質問は以上です。ありがとうございました。

企業プロフィール

Profile

KPMGコンサルティング

この企業の詳細情報
  • 青木 聡明 様

    パートナー

    大学卒業後、大手生命保険会社に入社。最初の2年を営業現場の企画、後半2年を営業職員の成績・給与・評価の仕組みづくりに携わり営業職員をどのように動かすのかを現場と制度の両面から学ぶ。 その後、外資系戦略コンサルティングファームに転職し戦略からオペレーションまで幅広いプロジェクトを経験。順風満帆・スピード昇進ということはなく四苦八苦しながらも経験を積む。もう一社別の戦略ファームを経て戦略コンサルタントとしてのキャリアを積み、2016年にKPMGコンサルティングに転職し今に至る。

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